北極圏で主要なプレーヤーになるという中国の目標は、同地域での支配的な役割を厳重に守ってきた隣国ロシアによって長らく妨げられてきた。だが今、北極を覆う氷とともにロシアの抵抗も解け始めている。ウクライナ侵攻による経済的孤立に直面しているロシアは、西側のエネルギー会社が同国のプロジェクトから撤退しようとしている中、北極圏開発の支援を中国に求めている。この新たな協力関係は、ロシア北西部からベーリング海峡まで北極圏を横断する北極海航路を通じた原油輸送量の急増に如実に表れている。ロシアは北極圏で海軍演習や海上安全保障上の取り決めを中国と行ったり、同国に氷の状態を監視する衛星データなどの技術援助を求めたりしている。