米国は長年、世界の「最後の貸し手」だった。1990年代の新興国市場のパニック、2007~09年の世界金融危機、そして2020年の新型コロナウイルス流行による経済活動停止の際、米財務省の比類なき借り入れ能力が救いの手を差し伸べた。今、財務省そのものがリスクの源泉になっている。米国が債務不履行(デフォルト)に陥ったり、次の入札で国債を十分売れなかったりするというわけではない。だが、米国の借り入れの規模と増加傾向、そして是正に向けた政治的取り組みの欠如は、少なくともここ数十年見られなかった形で市場と経済を脅かしている。それが足元での突然の国債利回り急上昇から読み取れることだ。定石的な理論では説明できない。インフレを巡る状況はわずかながら改善し、連邦準備制度理事会(FRB)は利上げが終了に近いことを示唆した。