イスラエルに対する過去50年で最大の攻撃と、イスラエル・パレスチナ合わせて1000人を超える死者が出たことに対し、9日の市場は完全に筋の通った反応を示した。原油価格は約3%上昇し、米株価指数先物はやや下落し、金は約1%上昇し、米国債先物は上昇して利回りは低下した。利益のことになると、何百万人の災難でさえもさほど重要ではなく、株も米国債も、6日の米雇用統計発表後と比べて値動きは小さかった。残酷な現実だ。市場にとっては今回の惨事も、米労働統計局が明らかにするたった一つの統計ほど大事ではないことが判明した。重要なのは、紛争がエスカレートする可能性だ。第一歩として最もあり得るのは、ハマスの攻撃の計画を支援したイランに対する制裁強化だ。イランは米国との緊張緩和で過去1年間に原油生産を日量約50万バレル増やしたが、制裁強化なら緊張は高まる。ゴールドマン・サックスは、来年イランの生産量が日量10万バレル減少するごとに原油価格が1ドル上昇すると予想する。これだけでも9日の上昇幅の2倍になる。