「Ha kol b’seder」。これはヘブライ語で「大丈夫。問題ない」という意味だ。インバル・シェム・トブさん(22)はごみ置き場の中で、迫り来るイスラム組織ハマスの襲撃者から身を隠しながら、父親に送信した動画の中でささやくようにそう伝えた。彼女の周囲にも携帯電話を握りしめ、対話アプリ「ワッツアップ」でメッセージを送る若い女性たちが映っている。その動画は、彼女が殺害される前、最後に送ったものの一つだった。アンネ・フランクはナチスから身を隠す中で経験した恐怖を日記につづった。インバル・シェム・トブさんが手にしたのはスマートフォンだった。この動画は先週インターネット上に拡散された、イスラエルで何が起きているかを示す無数のビデオクリップの一つだ。ハマスの戦闘員に連れ去られる女性たち、血まみれになったベビーカー、家々の壁を貫く弾痕、廃虚となったパレスチナ自治区ガザの街路や建物。そうした動画や写真をあなたは全てインスタグラムやTikTok(ティックトック)、X(旧ツイッター)などで見ることが可能だった。
「戦争の窓」と化すスマートフォン
われわれは人間の苦しみの想像を絶する姿を目撃できるようになった――リアルタイムで
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