もっといい仕事、もっと大きな家、もっといいジムを見つけたい。米国中の人々がそう思っているが、今動けば先々、金銭的に苦しくなる恐れがある。新型コロナウイルス禍前やその最中に見られた低金利や高い給与、会費の割引は今ではほとんど手に入らず、人々は金の手錠をかけられている。多くの人は満足しつつも、身動きがとれないと感じている。労働市場が極めて逼迫(ひっぱく)しているときに転職した人々は交渉によって大幅な昇給や在宅勤務を手にしたが、他の企業で今、こうした待遇を手に入れることはできないかもしれない。もう一つ上のランクの不動産がほしい住宅所有者が動かないのは、またすぐには手に入らないであろう3%以下の住宅ローン金利を手放したくないからだ。現在の金利上昇は実質的に住宅購入予算を抑える役割を果たしており、より高価な住宅はさらに手が届かなくなった。
米国人が現状維持志向になった理由
近年の低金利と高い給与の恩恵を受けている人々は現状から動くことができない――アメリカンドリームの一部が失われつつある
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