原油高になると燃費の悪い車は敬遠される。米石油大手エクソンモービルにとって良いことは、米自動車大手フォード・モーターにとって悪いことだ。だが100年前は、両社はそろって急成長を遂げていた。自動車が増えれば必要な燃料も増える時代だった。電気自動車(EV)用バッテリーの主材料であるリチウムとEVの関係には、両方の力学が働いている。EVが増えればより多くのリチウムが必要になるが、そのためには価格が適切でなければならない。このためリチウムは投資家にとって投資の頃合いを計るのが難しい市場で、米特殊化学品大手アルベマールといったリチウム生産会社にとってもそれは同じだ。アルベマールは15日、豪リチウム鉱山会社ライオンタウン・リソーシズに対する約42億ドル(約6290億円)での買収提案を取り下げた。同国最大の富豪ジーナ・ラインハート氏は先週、自身の鉱山会社ハンコック・プロスペクティングを通じてライオンタウンに19.9%出資していることを公表。アルベマールは、撤退しなければプロジェクトの少数株主と競うことになる公算が高まっていた。
EVを振り回すリチウム市場
変動激しい電池材料価格、電気自動車の未来を左右
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