ゼルビアを改革したサイバーエージェント
藤田晋オーナーの「ギャンブル経営」
本拠である町田市立陸上競技場(町田GIONスタジアム)の設備の貧弱さ、資金力の乏しさに長らく苦しめられてきたゼルビア。転機は18年10月、IT大手のサイバーエージェントが経営権を取得したことだ。同社の配信サービス「AbemaTV」との連携で安定した収益を確保できるようになっただけでなく、町田市との連携で客席の増設や設備改修も実現。
さらに22年12月には、サイバーエージェントの藤田晋社長が自ら社長・CEOとしてゼルビアに乗り込んだ。すると、3億円弱を費やし、中国でプレーしていたエリキ選手(元横浜・F・マリノス)を獲得(ただし、現在はけがで離脱中)したり、高校サッカーの名指導者・黒田剛氏に、プロチームであるゼルビアの監督を託したりするなど改革はさらに進んだ。
藤田氏といえば、サッカー・ワールドカップ中継のために、決算を圧迫する規模の放映権料(推定約200億円)を注ぎ込むなど、そのビジネススタイルは「ギャンブル経営」とも称されている。また、麻雀・Mリーグのチェアマンや馬主でもあり、勝負師の顔を持つ。
ゼルビアの経営権を獲得した際も、「5年でJ1昇格」「勝たなければサポーターもスポンサーも集まらない」といった考えを明確にしていた。買収5年目となる23年にオーナーに着任し、戦力補強の勝負に打って出た藤田オーナーの賭けは見事に奏功した。