
深刻な人手不足が問題視される中、若手社員は「成果主義より年功序列に回帰」しているようです。若手が安定を感じながら働けて、辞めにくい職場にするには、具体的に何が必要でしょうか。人が辞めない職場に共通する「唯一無二の特徴」について解説します。(スパイラルアップ代表取締役 原 邦雄)
新入社員は成果主義より年功序列に回帰?
「2025年度新入社員の会社生活調査」(産業能率大学総合研究所)によると、「成果主義より年功序列を望む」新入社員が56.3%と、「成果主義を望む」43.6%を初めて上回ったそうです。1989年の調査開始以来ずっと成果主義を望む人の方が多かったのが、逆転したことで注目を集めています。
意外に感じる人も少なくないでしょう。ですが、若手社員の人材育成に長年携わってきた筆者にとっては、むしろ納得のいく結果です。というのも最近の若者は、経済や社会の先行きが不透明な時代に育ったことが背景から、安定を求める傾向が強いのです。
成果主義は努力次第で評価される、フェアで納得感のある仕組みです。しかしその一方で、常に評価を気にして緊張しながら働く環境は、安定を求める彼らにとって望ましくはないのです。さらに同調査では、「終身雇用を望む」と答えた人の割合も7割近くにのぼり、「同じ会社に長く勤めたい」人も5割以上と、安定志向が浮き彫りになりました。
では、若手が安定を感じながら働けて、辞めにくい職場にするには、具体的に何が必要でしょうか。
【若手が辞めない職場づくりクエスチョン】
(1)岡山県にある介護・障害支援サービスの事業所で、約20名のスタッフのうち3分の1にあたる7名が1年間で退職。シフトを組むのが難しく、特定の職員に負担が集中してしまうことも。さらに新たなスタッフを採用するためのコストも膨らみ、人材が定着する職場づくりが超緊急課題になっていた。
(2)新潟県にある188床・24時間急性期医療を担う地域の中核病院が、看護師不足で医療崩壊の危機に。新卒採用を行っても定員割れが続き、さらに直近5年間の退職率は約2割。「採用ができない」「採用できても定着しない」という負のスパイラルで大ピンチに見舞われていた。
特に介護や医療の分野は、慢性的な人手不足に悩んでいます。しかしこの2つの職場では同じ「ある仕組み」を導入することで、退職率を劇的に改善しました。コストはかからず、紙とペンさえあれば今すぐできる仕組みです。いったい何だと思いますか?