ゆりかもめ・豊洲駅の先のカーブゆりかもめ・豊洲駅の先のカーブ Photo:PIXTA

東京の新橋駅~豊洲駅間を走る「ゆりかもめ」には長らく延伸計画があるが、実現には至っていない。一方、ほぼ同じエリアには「臨海地下鉄構想」が浮上し、実現に向けて動き出している。このエリアには東京五輪選手村跡地で、総計画戸数5000戸超のマンション群「晴海フラッグ」が、2024年春に入居開始予定だ。東京・臨海部における2つの新交通網の“勝敗”の行方を追った。(乗り物ライター 宮武和多哉)

ゆりかもめ豊洲駅の先に続く大カーブの謎

 東京の新橋駅~豊洲駅の全線で高架上を走る東京臨海新交通臨海線、愛称「ゆりかもめ」の軌道は、一見すると不思議なつくりになっている。豊洲駅(江東区)の先でカーブを描いて途切れていて、その先の晴海通り方面に延ばそうとしているのでは?と思わせる。実際に、豊洲駅から勝どき駅(都営地下鉄大江戸線)まで延伸する計画はあったが、2023年現在で具体的な動きはない。

 カーブの先、豊洲駅から1km圏内には、芝浦工業大学豊洲キャンパス、BIPROGY(旧・日本ユニシス)本社、IHI本社などがあり、運河を渡った先の中央区晴海には、ザ・パークハウス晴海タワーズなど、タワーマンション群がそびえ立つ。この地にゆりかもめが開通すれば、それなりの利用が見込める気もする。

 また、晴海地区の西側、東京五輪選手村跡地で、総計画戸数5632戸を擁するマンション群「HARUMI FLAG」(以下、晴海フラッグ)が、24年春の入居開始に向けて建設中だ。もし、延伸が実現すれば、晴海フラッグの最寄り駅は勝どき駅(徒歩20分前後)ではなく、「ゆりかもめ・晴海フラッグ駅(徒歩数分)」なんてことも可能だろう(駅名は筆者の想像)。

 ゆりかもめ延伸は00年時点では、国の資料や江東区と中央区の計画図にも描き込まれ、開業は既定路線であるかに見えた。ところが、ある時期から検討されなくなるどころか、なんと計画の「根こそぎ消去」を国は要望するように。そうした事態に至った背景には、「地下鉄計画の浮上」と、「中央区の心変わり」があった。