
SNSでのネガティブ/ポジティブな投稿は伝染するという研究がある。ネガ投稿はネガ投稿を招き、ポジ投稿はポジ投稿を呼ぶそうで、実感としても「そりゃそうだ」と納得する人が多いだろう。今回は、ネガティブ投稿の功罪と、しばし耳にする「ネガティブフィードバック」について考えてみたい。(フリーライター 武藤弘樹)
ネガティブ投稿を監視する
「2カ月間のキャンペーン」
中国で新たなネット規制が「2カ月間のキャンペーン」 として始まった。SNSでのネガティブな投稿や対立を煽る投稿、個人の晒し行為 などが監視され、またユーザーによる通報も奨励されている。
その背景には経済の伸び悩みや若者の高い失業率などの中国国内の社会問題があって、そこからくる不安がSNSによって助長されることがないように、という中国当局の施策である。社会不安は極まると革命に結びつくので、些細なネガティブ投稿であっても現体制を脅かしうる危険因子として厳しく取り締まられている――という専門家の見解もある。
この記事では政治方面に首を突っ込むつもりはあまりないので、「中国はそんな感じらしい」というところで切り上げておくとして、ネガティブな投稿が他人に対してどのような影響を与えるかや、ネガティブな投稿の建設的な側面があるかなどを洗い出してみたい。
まず、SNSにおける感情は伝染する、という海外の研究がある。旧Twitterから3800人のユーザーを測定した研究(2015年)や、約70万人のサンプルを用いたFacebookの大規模実験(2014年)の結果、ものすごくざっくりいうと数%など、わずかではあるがどうやら確実に「ポジティブな投稿はポジティブな投稿を、ネガティブな投稿はネガティブな投稿を増やす」ことがわかった。
参考)
NCBI Measuring Emotional Contagion in Social Media
PNAS Experimental evidence of massive-scale emotional contagion through social networks
NCBI Measuring Emotional Contagion in Social Media
PNAS Experimental evidence of massive-scale emotional contagion through social networks