米株式市場の「ヘルスケア」セクターで年初来上昇率が上位の銘柄には、抗肥満薬ブームが追い風になると期待されている企業が名を連ねる。製薬大手の米イーライリリーとデンマークのノボノルディスクの上昇率はいずれも40%を超える。その他の同業他社は大半がマイナス圏で推移し、米ファイザーや米モデルナといった新型コロナウイルス禍での「勝ち組」は特に下げがきつい。そのため、ファイザーは肥満症治療薬を引っ提げて上昇銘柄に躍り出る、と投資家が期待していたとしても無理はない。だが、同社が10月31日の決算発表時に経口治療薬候補「ダヌグリプロン」について沈黙を守ったことで市場に不安が広がっている。ジェフリーズのヘルスケア・ストラテジスト、ウィル・セブッシュ氏は、ファイザーの発表文に「(ダヌグリプロンについて)一言も言及がなかった」と述べた。リーリンク・パートナーズのアナリスト、デービッド・ライジンガー氏は決算発表に先立ち、ファイザーが早ければ31日にも、決算発表と同時に中期臨床試験(治験)データを明らかにする可能性があると述べていた。