米国は肥満症に関して先進国の先頭を走っている。株式市場や企業決算をくまなくチェックしている人が、肥満症の問題は解決済みだと思い込んでも不思議ではない。これはいわばオゼンピック効果だ。「GLP-1」として知られる非常に効果の高い新たな減量・糖尿病治療薬が登場したことで、米国の肥満問題が飯の種だった企業は破滅するという非現実的な臆測がウォール街を飛び交った。また、多くの人の体重が減ると恩恵を受ける企業に途方もないチャンスが転がり込むとの見方も浮上している。企業がジャンクフードの販売をやめてにんじんスティックを売るようになる、乗客の体重が減って航空会社が燃料代を節約できる、などとっぴなシナリオを思いついたアナリストもいる。ファクティバによると、企業が決算説明会でGLP-1に言及する回数はここ12カ月間で増加した。