パソコン需要が実のところ半導体市場の活力源になっているということは、今の市場がどれほど特異な状況にあるかの証しだ。パソコン販売は、新型コロナウイルス特需で2年にわたり拡大した後、昨年初めから急減している。今年7-9月期(第3四半期)の販売台数は前年同期比7.6%落ち込んだが、過去5四半期の減少率が2桁で推移していたことから、市場調査会社IDCは実際には顕著に改善していると報告した。IDCは今年の世界のパソコン出荷台数が合計2億5200万台になると予想している。昨年から14%の減少で、同社の集計によれば年間の販売台数としては過去10年以上で最低水準となる。異例なことに、パソコン分野はインテルとアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)にとって、今決算シーズンの救いの神になった。AMDが10月31日午後に発表した7-9月期(第3四半期)決算では、パソコン向け部門の売上高が前年同期比42%増となった。同社の各部門の中で、同期に売り上げ増を記録したのはこのパソコン向けだけだった。インテルのパソコン向け部門の売上高は、前年同期比3%減少したが、この減少幅はアナリストの予想(10%減)よりも小さかった。両社ともにデータセンター向け部門の不振が目立ち、パソコン向け部門の売り上げがそれを補う形となっている。データセンター向けの高価な半導体の販売先は、クラウドコンピューティングネットワークを運営する巨大IT企業だ。この分野は、今や半導体業界にとって最も重要な市場になっている。
半導体メーカー、市場再生はAI搭載パソコン頼み
インテルとAMDの不振よそにエヌビディアはデータセンター向けが好調
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