仕事はできるが”遅刻魔”の新入社員…「懲戒処分&名前公表」はあり?仕事はできるのだが、早起きが苦手で、寝坊をし、遅刻してしまう新入社員。9月に入ってから遅刻は週に1回ペースになった(写真はイメージです) Photo:PIXTA

仕事はできるのだが、とにかく遅刻が多い社員。注意してもまったく改善せず、むしろ遅刻が増える一方だ。困った専務は、遅刻魔の社員を懲戒処分にし、名前を社内に公表しようと考えた。しかし“遅刻”に対してそこまで厳しい不利益処分を行うことができるのだろうか?(社会保険労務士 木村政美)

<甲社概要>
地方都市にある機械部品の卸売会社で従業員数は50人。営業課(メンバー数12人)の勤務時間は9時から18時(休憩1時間)
<登場人物>
A:営業課長でBの上司(以下「A課長」)
B:今年4月に入社した23歳。営業課所属。
C:甲社長の弟で専務。人事労務の権限を持つ(以下「C専務」)
D:甲社の顧問社労士

優秀な新入社員のB、唯一の弱点は「朝が弱い」

 10月上旬の月曜日。出勤後、朝イチで管理課長とのミーティングを終え、営業課のフロアに戻ってきたA課長。

「もう9時30分か……。遅くなってしまったけど、今から朝礼を始めます」

 と声を掛けると、メンバーたちは仕事の手を止めた。A課長は部屋中を見回してメンバーが全員そろっているかを確認したが、Bの姿が見当たらない。

「B君がいないな。今日の朝礼は大切な話があるから、取引先に直行しないように先週伝えてあったはずだが。忘れたのかな?」
「Bさんなら、5分前に電話がありました。寝坊したので1時間ぐらい遅れてくるそうです」
「えーっ! よりによってこんな時に遅刻とは。はあーっ……」

 部下の報告を受けたA課長は大きなため息をつくと、B抜きで朝礼を始めた。