その調査を踏まえて、普光院さんは「自治体に認可の保育(保育所、認定こども園、小規模保育など)の利用を申請して利用できなかった児童数(待機児童数+隠れ待機児童数)、いわゆる未決定児童数は全国で8万7343人になり、前年よりも4585人増加しています」と指摘する。

「隠れ待機児童数には、育児休業延長制度を利用するために意図的に人気の高い園1園のみを希望する人なども含まれているのは確かですが、認可への入園を希望しているのに自治体から認可外を案内されて辞退した人も含まれています。こども家庭庁の統計では、保護者も惑わされますし、現状を正しく把握できず政策を見誤ることにもなりかねません」(普光院さん)

 こういった事態に行政も対策を打っていない訳ではないが、十分とは言い切れない。普光院さんは「ここ数年で保育園の入園事情は確かに改善しているものの、待機児童ゼロを謳う自治体でも入れない状況は続いている」と主張する。

 こども家庭庁によれば、2000年度までは待機児童数は、認可保育園を希望して利用できなかった児童の数を単純に算出していた。ところが、2001年度以降は、東京都の認証保育所などの自治体の認可外助成事業(地方単独事業)を利用できた児童はカウントしなくてもいいことになり、その後、さまざまな定義でカウントしない数が増えていった。

 一方で、厚労省は18年度から「親に復職の意思がある場合は育児休業中も待機児童に含める」という定義の見直しも行っている。