ここ数年、米労働市場の意外な「勝者」は低賃金労働者だった。雇用主は求職中の労働者が限られる中で人材の確保に躍起となり、低賃金業種で働く人々は最大級の賃上げや特典を実現するだけの力を手に入れた。政府の新型コロナウイルス対策給付金で彼らの懐事情はさらに豊かになった。だがここにきて、その力は弱まりつつある。求職中の労働者が増え続ける一方、米経済には連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ退治で進めた利上げの影響が現れ始めている。その結果、賃金の伸びは全体的に鈍化し、特に賃金水準の最下位層でその傾向が顕著となっている。コロナ下の過剰貯蓄も次第に減りつつある。小売業者は低所得者層の消費意欲が減退したことを肌で感じている。エコノミストは異例なほど好調な個人消費支出が続いてきた状況を冷え込ませると予想する。
米低所得層の急激な賃上げに幕 消費に冷や水
労働需給が緩み、低賃金労働者の影響力と購買力に衰えの兆し
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