「自力整体」とは、整体施術のプロの技法を自分におこなうメソッドです。現在約15,000名が実践し、鍼灸、整体、ヨガの要素を構成した動きで、痛み、コリ、不定愁訴を解消していきます。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。そのメソッドを紹介したロングセラーの『すごい自力整体』に続き、「もっと知りたい!」の声にお応えして『すぐできる自力整体』が登場! 3分以内でできる「悩み別」最新メソッドや、「驚くほどほぐれる4つのコース(動画つき)」を収録。
本書より一部抜粋・編集し、その中身を紹介しましょう。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが教える】冷えてカチカチの「骨盤」は悲鳴をあげている。不調になる前に知っておきたい、一瞬でポカポカになるワーク

不調のほとんどは「骨盤のゆがみ」、そして「冷えと硬さ」

 自力整体では「骨盤の調整」を重要視しています。なぜなら骨盤は人体の骨格のベースであり、骨盤のゆがみは全身に影響するからです。とくに、首コリ・肩コリ・腰痛・ひざ痛・足首の痛みのほとんどは、骨盤のゆがみから。さらに、骨盤まわりの「冷えと硬さ」も、様々な不調のきっかけをつくります。

 日頃から骨盤を整え、柔らかくほぐしておくことは、不調の予防・改善に役立ち、体が驚くほどラクになります。そして、骨盤まわりが柔らかくなれば、ゆがみも整いやすくなります。

女性はとくに、硬く冷えた「骨盤まわり」をほぐすと体がラクに!

 女性の場合はとくに、骨盤のゆがみや、骨盤まわりの硬さや冷えは、生理痛、PMS(月経前症候群)、生理不順、不妊、難産、婦人科系のトラブル、更年期不調、肥満などにつながります。

 女性特有の悩みをもつ生徒さんに、骨盤まわりを柔らかくほぐす自力整体をアドバイスすると、「健康的にやせて生理不順がなくなった」「更年期の不調が消えた」「念願の子どもを授かることができた」「初産の分娩は36時間苦しんだのに、第二子の分娩は2時間のスピード出産」など、うれしい報告を多数いただきます。

 骨盤には「仙骨」「腸骨」があります。その2つを結ぶ「仙腸関節」は、約28日間のサイクルで、開いたり、閉じたりを繰り返しています。正常な仙腸関節は排卵日から生理に向かって開き、生理が終わると次の排卵日に向かって閉じていく。しかし骨盤がゆがんだり、硬くなると、仙腸関節の開閉が鈍くなり、婦人科系の痛みや不調が出やすくなります。

 心当たりのある方は、日頃から骨盤調整や、柔らかくほぐす習慣を取り入れるとよいでしょう。

 今回は、『すぐできる自力整体』の中から、骨盤まわりをゆるめて不快な症状を和らげる、カンタンなワークをしましょう。

骨盤まわりがほぐれてポカポカに!「腰のユラユラほぐし」のワーク

「梨状筋」「仙腸関節」をほぐす動きで、腰痛、坐骨神経痛、生理痛、PMSの症状を和らげます。とくに坐骨神経痛は、梨状筋が硬く縮んで坐骨神経が圧迫されておこりますので、このワークでしっかりほぐしておきましょう。

画像を見ながらおこなうとわかりやすいでしょう(*画像はすぐできる自力整体より)

【整体プロが教える】冷えてカチカチの「骨盤」は悲鳴をあげている。不調になる前に知っておきたい、一瞬でポカポカになるワーク

【手順1】
◆足裏にタオルを引っ掛け、脚を天井に上げ前後にゆする。
◆足裏は天井に対して平行。脚の裏側やアキレス腱をのばす。
◆脚を前後にユラユラゆする。

※ポイントは、足にぶらさがるイメージで首も脱力。腰ののびを感じる

【整体プロが教える】冷えてカチカチの「骨盤」は悲鳴をあげている。不調になる前に知っておきたい、一瞬でポカポカになるワーク

【手順2】
◆脚をおろしたら、両ひざを開き左右交互にゆする。
◆ひざをユラユラ・パタパタ動かし、梨状筋の縮みをほぐす。
◆かかとはお尻に近づける。
◆首・腰もユラユラ。

「骨盤のゆがみ」を根本からしっかりなおしたい方は、『すぐできる自力整体』で紹介している、「あおむけで骨盤調整20分コース」(動画つき)も試してみてください。

『すぐできる自力整体』では、この他にも、整体プロの技法を使って、コリや痛み、ゆがみを解消するワークを多数掲載しています(★35分の動画も収録)。

【整体プロが教える】冷えてカチカチの「骨盤」は悲鳴をあげている。不調になる前に知っておきたい、一瞬でポカポカになるワーク矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見て、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約15,000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約15,000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体 』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗