「暖冬」で日本景気が下振れ?冬場の平均気温1度上昇で個人消費は0.8%ダウンPhoto:PIXTA

7~9月期はマイナス成長
個人消費と在庫投資が下押し

 日本の株式市場は、10月末以降の株価の急ピッチの上昇で過熱感も一部で指摘されているが、企業収益の拡大や拡大継続への期待から上昇基調が続くとの見方が増えている。ただ一方で、マクロの経済指標においては弱めの動きを示すものも出ている。

 23年7~9月期のGDP統計では、実質GDP成長率が前期比年率マイナス2.1%となり、3四半期ぶりのマイナス成長を記録している。内訳をみると、個人消費が、前期比でほぼ横ばいながら微減(前期比0.04%減)となった。当初は4~6月期の落ち込みの反動増も見込まれていたが2四半期連続の減少となった。サービス消費は増加したものの、財消費が落ち込んでいる。

 内閣府は個人消費の減少について自動車販売の減少が押し下げ要因になったと指摘した。8月に大手自動車メーカーで起きたシステム不具合による国内工場の稼働停止で、自動車生産が下振れたことが影響している。コロナ禍による半導体などの部品の供給制約は緩和に向かったが、大手メーカーのシステムの不具合で同メーカーの国内全14カ所の車両工場が一時停止となり、自動車生産が下振れ、販売を押し下げることになった。

 また、輸出は前期比0.5%増と伸びたものの、勢いを欠いているとの見方が出ている。自動車輸出は増加したものの、自動車生産の下振れの影響が出ている可能性がある。さらに、生産下振れを受けて、国内の在庫投資が減少し、GDPを押し下げたこともある。実質GDP成長率(マイナス2.1%)のうち、半分強の1.1%ポイントは在庫投資の減少によるものだ。さらにGDPの控除項目である輸入が増えて、GDPの押し下げ要因となった面もある。