米オープンAIに巨額投資を行い、生成AIの分野で独走状態となった米マイクロソフト。ChatGPT技術を組み込んだ自社クラウドAzure OpenAIの快進撃に続き、次の一手は「コパイロット」。いわば ワード・エクセル・パワーポイントなどのいわゆる「オフィスソフト」のChatGPT化だ。これが導入されると日本のホワイトカラーの仕事が劇的に進化する可能性もある。特集『コピーですぐに使える!ChatGPT100選 職種別・業種別・部署別』(全32回)の#15では、近く日本でもサービスが開始されるとみられる、「オフィスの最終形」を覗いてみよう。(ダイヤモンド編集部 鈴木洋子)
エクセル関数もマクロも不要 データ分析が自動化、プレゼン画像も自動収集できる「コパイロット」
米マイクロソフトは、同社の歴史が始まって以来の初の快挙を、生成AIによって達成した。米オープンAIの技術を自社クラウドAzureに組み込んだ「Azure OpenAI」のリリースから半年で、Azureの利用社数が世界で1万1000社も増加したのだ。1日当たり100社増えたケースもあり、サービス提供開始から半年でここまで爆発的な勢いで伸びた製品は同社の歴史上一つもなかったという。
オープンAIが提供する生成AIは三つ。まずはおなじみのChatGPT。これはオープンAI製のチャットアプリだ。これに対し、自社開発したサービスやアプリに、オープンAIの生成AIの技術を組み込むために利用するのがOpenAI API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)だ。
Azure OpenAIはこのAPI版に近いが、入力データがオープンAIによって学習利用されないなど、コンプライアンス(法令順守)やデータセキュリティーに関して厳格になっている。
現在、主要企業でChatGPTを使っている場合、そのほとんどがAzure OpenAIを利用しているのが実情だ。メガバンク3行やメルカリなど大企業のほか、中央官庁や自治体などを含めて利用者は急速に広がっており、法人向けの生成AIは事実上、マイクロソフトの独走状態になっているといっていい。
さらにユーザー企業の期待が高まる「本丸」が近日中に登場する。ワード、エクセル、アウトルック、パワーポイントや会議アプリのTeams(チームズ)など、日常的にビジネス利用されるマイクロソフト365アプリ、「マイクロソフトオフィス」に生成AIを組み込んだ「Copilot(コパイロット)」がデビューする。マイクロソフト365の法人ユーザーのほか、月額30ドルの追加料金で個人ユーザーも使える。
日本でのサービス開始予定も近いと見られるが、実際にはどのようなことが可能になるのか。ホワイトカラーの仕事を劇的に進化させる可能性があるその驚異の内容を確認していこう。