「成果に直結する理念」の策定・浸透を通して7年で100以上の組織経営を改善し、新刊『こうやって、言葉が組織を変えていく。』を書いた生岡直人氏が、成果を出し続ける場に共通する条件を紹介します。(構成・撮影/編集部・今野良介)

「心理的安全性」が高い場の3条件

仕事の成果とは、人に紐づくものではなく、場に紐づいています。

これは、私の職業である「組織の理念づくり」に限らず、マネジメントにおいて大切な考え方です。

私という外部の人間が一人で成果を生めるかというと、そんなことは絶対にありません。クライアントの方々と私との場が「良い場」になった結果として成果が生まれます。

会社の中の人間関係も同じことで、社長と従業員の間、上司と部下の間が「良い場」になり「良い空気」が生まれるからこそ成果が出る。

ですから私はクライアントに「成果というのは人と人の間にある場を良くすることによって生まれるものだ」という話を必ずします。「自分を良くしよう」ではなく「場を良くしよう」という意識があれば、成果は生まれ続けるはずなのです。

成果を出し続ける組織の「見えない共通点」成果の裏側にあるもの

では、成果が生まれやすい場とは何かというと、心理的安全性が高い場です。

心理的安全性を生む要素は、①よい表情、②よい言葉、③よい姿勢の3つです。

かつ、①→②→③の順番に生まれることが多いのです。

たとえば、病院の受付スタッフで、従業員と患者さんとの間で心理的安全性の高い場を作ることを考えてみましょう。

あなたが患者さんとして病院に入り、受付スタッフの表情が暗く、受け答えの声も小さく元気がない、動きの機敏さもなくダラッとしている。そんな場面に遭遇したら「なんか嫌な感じだな」という気持ちになるでしょう。

逆に、病院に入るなり、マスク越しでもわかるくらいに豊かな表情で対応していて(①)、近づいたときにはこちらの体調を配慮しながら優しく語りかけてくれると(②)、自然とホッとし自然と場の空気が良くなります。

さらに会話を続けていると、その受付スタッフの表情と言葉だけではなく、対応してくれている姿勢や動きも視野に入ってきて、その姿勢がきちんとしたものだと「気持ちの良い人だな」と感じ、大きな安心感が生まれます(③)

①②③の順に、人と人との間に「よい場」が作られていくのです。

ただし、「意識しているときだけ」こういった場づくりができるのでは、まだ心理的安全性が高い場とは言えません。

理念の策定だけでなく「浸透」に取り組むことで、心理的安全性につながる表情、言葉、姿勢がほとんど無意識にできている状態にすることで、心理的安全性の高い場が常態化し、その場から生まれるスタッフと患者さんの行動がより質の高いものになり、求める成果に結びついていきます。

拙著『こうやって、言葉が組織を変えていく。』では、7年間で100社以上の経営を支援してきた私の経験を踏まえ、理念策定・浸透・実践のすべてのプロセスについて余すところなくお伝えしていきます。

社長、経営陣、管理職、プロダクトマネージャー、キャプテンなど、周囲の期待を背負い組織のメンバー全員の力を結集して成果を出し続けたいリーダーの皆様、ぜひご活用ください。(本文終わり)