体に心地よく残ったV10・NAの余韻
次世代モデルはPHEV

 街乗りはさすがに少々ハードな味付けだ。路面のザラつきが手に取るようにわかる。けれども速度を上げていくとだんだんと気にならなくなっていく。ライド感にフラットさが増していくからだ。70km/hを超えれば、もう快適とさえいっていい。とくにドライブモードのANIMAをストラダーレにセットしておけば、街中でも低速域を除いて、硬めだけれどクルマ好きに最適なライドフィールを提供する。

 キャラクターが豹変するのはANIMAをスポルトかコルサに変えた瞬間だ。サウンドがいきなりラウドになってV10エンジンのイキリ具合が手に取るようにわかる。素晴らしいのはそのサウンドクォリティ。輪郭のぼやけた感じがまるでなくなり、V10特有の一本筋の通った美しい音色になった。7速DCTの制御も明らかに進化しており、アップシフトの心地よさは、優秀だったEVOのさらに上をいく。

 STOと同じシャシー制御を持つだけあって、ワインディングロードでのお楽しみは、クラス最高レベル。意のままのドライビングフィールとはこのことだ。ライバルの硬派モデルと比べても“楽しさ”という点ではまるで遜色ない出来栄えだった。

 次世代モデルはPHEVになる。おそらく高効率のV8を積んでくるだろう。それはそれで楽しみだけれども、体に心地よく残ったV10・NAの余韻が未来の電動化を残念がっているようにも思えた。

(CAR and DRIVER編集部 報告/西川 淳 写真/山上博也)

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