ただ、「驚きはあったが、すぐにポジティブに受け入れられた」と話す。

「今回のことは、単純なブランド・名称の変更ということではありません。Connect 2021の基調講演を見ていただければよくわかると思うのですが、今回の発表は、5年・10年に渡る我々の進む方向・ビジョンを明確にして、その上で『あのブランドにしよう』ということでした。ですから、もちろん社内にも驚きはあったわけですが、非常にポジティブに受け止められています」

Facebook Japan代表取締役の味澤将宏氏
Facebook Japan代表取締役の味澤将宏氏

「弊社も創業から18年が経過しました。Facebookという単一のサービスから始まったわけですが、特にこの10年でポートフォリオも変わってきて、いろいろなサービスを展開しています。ソーシャルやメッセージングだけでなく、AR/VR、AIやマシンラーニングといった事業を含む企業になりました」

「今回新たにコーポレートビジョンとして『メタバース』を打ち出したわけで、今後目指す方向もよりクリアーなものになります。もちろん、既存のビジネスがなくなるわけでもありません。今のFacebook、Instagramも今後、ARの搭載やVRとのインテグレーションをより加速して進めていきます」(味澤氏)

日本で急速に定着するInstagram、利用形態も他国とは異なる

味澤氏がFacebook日本法人の代表に就任したのは2020年1月のこと。「就任からの約2年間でどこに注力してきたのか?」との問いに、味澤氏は「Instagramのグロース」と答えた。Instagramの日本での月間アクティブアカウント数は、公式発表では2019年3月の段階で3300万アカウント。現在は4000万アカウントを大きく超えている、とする外部調査も多い。

「日本代表に就任してから、プロダクト・ポートフォリオとしてはInstagramのグロースに注力してきました。それは日本の中でビジネスをグロースさせるということだけではなく、日本で作ってきたモデルが世界の他の国でも役に立つだろう、というビジョンを推し進めたものです」

「日本では特に、Instagramでの検索機能の利用率が高い。ハッシュタグ検索もそうですが、場所やブランドの検索も多く使われています。そのため、地図検索機能を日本で開発しました。この機能は今、他の国でも使われています」

「コマース事業でもそれは同様で、ショップのタグから先へと実際に入ってきていただける比率が、グローバル平均と比べるとだいたい3倍くらいあるんですね。ハッシュタグでの検索利用もグローバル平均に比べ5倍くらい多くなっています。そのくらい、『好きなもの』『ブランドプロダクト』に対してエンゲージメントが強いです」(味澤氏)