2021年6月にリリースされた近隣の人気スポットを検索できる地図検索機能
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なぜ日本ではInstagramがここまで支持されるのだろうか? 前出のように、利用形態も異なり、利用の積極性も目立つ。その理由はどのようなところにあるのだろうか。

「日本人は『インタレスト(興味)』でつながることが非常に好きな国民性である、という部分があるように思います。ある興味に対して一気にエンゲージメントが広がり、そこからコミュニティが広がるのですが、この特性が他のマーケット(地域)に比べて強いのではないか、と。ソーシャル上の投稿を分析すると『日本人はハイコンテキストな国民性である』という話がよく出てきます。日本全体にひとことで通じて、細かい部分まで説明しなくても語り合えるという部分は、プラスに働いているのではないかと思います」(味澤氏)

その結果、Instagramのビジネス利用は活発になってきた。特に味澤氏が強調するのが、規模の小さな店舗を含めた「中小企業」での利用である。

「コロナ禍では中小企業のビジネスにかなり影響が出ていたので、Instagramを中心に、料理の注文機能や予約の機能を積極的に開拓してきました。おそらくこの分野では、世界で一番パートナーシップを多く組んでやってきた、と考えています。今はその部分がかなり広がり、飲食店だけではなく、美容院などでも使っていただけるようになってきました」

「こうしたことはいわゆるデジタル・トランスフォーメーションに類する領域です。大企業なら自分たちで対応もできるでしょう。ですが、中小のビジネスでは、まずアプリを自分たちで作ることが難しい。飲食や美容などの業種ではすでにInstagramを使っていただいていた部分もあるので、その中から無料で使える機能として、予約やコマースに関する機能もご提供しています」

「また最近は、収益化支援を中心に、クリエイターのバックアップも進めています。日本はInstagramが強いマーケットなのでより顕著ではあるのですが、今『クリエイターの民主化』が起きていると思うのです」

「ソーシャルメディアによる情報の民主化の流れを受けたものですが、表現の幅が広がることで、それがクリエイターの民主化につながっています。今までは既存の流通やマスの力を借りなければできなかったことが、直接好きなものを発信する中でビジネスが生まれる、という形になってきました。我々もそこを支援していきたいです」(味澤氏)

2021年6月には米国で、クリエイターがお気に入りのアイテムの商品タグ(商品名や価格を表示し、商品詳細ページに遷移させることができるタグ)を自身の投稿に追加し、売上に貢献した際にコミッションを受け取ることができるアフィリエイト機能をテスト的に開始している
2021年6月には米国で、クリエイターがお気に入りのアイテムの商品タグ(商品名や価格を表示し、商品詳細ページに遷移させることができるタグ)を自身の投稿に追加し、売上に貢献した際にコミッションを受け取ることができるアフィリエイト機能をテスト的に開始している

Facebookの強みは「コミュニティ」、コロナ禍でより重要に

日本でのMetaのビジネスとしてInstagramの重要性はわかってきた。では(SNSとしての)Facebookはどうだろう。他国と比較しても、日本のFacebookには特殊な部分がある。そこをどう自己分析しているのか。味澤氏は「つながりがポイント」だと説明する。