「これだ、というポイントが決まっていて資金力がカギを握る領域」で日本のスタートアップが世界の競合と戦っていくことは容易ではないが、独自の技術がウリになる領域では、先進的な技術を持っていれば日本発の企業にもチャンスはあるという。

「日本の大企業が(先行する)欧米の技術を取り入れていく状況が続けば、ゆくゆくはエネルギー産業において国内発の会社や技術がゼロになってしまうということにもなりかねません。エネルギーは経済安全保障上も重要であり、インフラが脆弱になると国としても成り立たなくなってしまう。今回のファンドから1〜2社でも、2050年の日本のインフラを支えるような会社を創出していきたい。そのような使命感があります」(鮫島氏)

「今でこそシード・アーリーステージのディープテック企業に投資をするプレーヤーも増えてきましたが、自分たちが約4年前に始めた頃はまだほとんど存在せず、同業の方から奇人だと思われることもありました。ただ、自分たちにとってはそのくらいのタイミングで始めるのがちょうどいいと考えています。今回のファンドでも『この会社に投資をしたい』という人たちは当分は現れないかもしれないと思うくらい、未知のテクノロジーに対して積極的に投資をしていきます」(佐俣氏)