米経済紙「Financial Times」も同様に、Tumblrにアルゴリズムによるレコメンドがなく、クリエイターの見た目が重要ではない、といった特徴がZ世代の支持につながっているのではないかと説明する。

SNS全体の利用時間が低下傾向に

Facebookは米国時間の2月2日、アクティブユーザー数が創業以来初めて減少に転じたと発表した(2021年10〜12月期の1日あたりのアクティブユーザー(DAU:Daily Active User)が19億2900万人で、前期の19億3000万人から微減)。実はSNS全体の利用時間も、2020年をピークに低下傾向にある。

ドイツの調査会社・Statistaが発表した「Digital Economy Compass 2021」によると、ネットユーザーが1日にSNSを利用する時間の世界平均は、2020年には145分だったが、2021年には142分に低下した(2021年は第1四半期:1〜3月の数値)。

低下傾向の理由について、Statistaのデータジャーナリストであるマーティン・アームストロング氏は「SNSが若者のメンタルヘルスに悪影響を与える可能性があるという調査結果の増加」を一因として挙げている。

2021年9月には「Wall Street Journal」によって、「Instagram」が10代ユーザーのメンタルヘルスに悪影響を与えていることを、Facebook(現Meta)が社内調査により把握していたことが明らかになった。また日本でも2022年1月、動画アプリ「TikTok」がステルスマーケティングの可能性があるSNS投稿をインフルエンサーに依頼していた、と読売新聞が報じている。こうしたことが判明するたびに、大手SNSに不信感を抱くネットユーザーは、今後もZ世代に限らず増えていくだろう。

前述のFinancial Timesの記事によると、2021年12月、Tumblrの1カ月のアクティブユーザー数(MAU:Monthly Active User)は約3億人で、2年前の同期比で8000万人ほど減少している。全盛期をとうの昔に迎え、引き続き全体としてのユーザー数は減少傾向にあるTumblr。だが、収益は2021年7月から2022年1月までに55%増加し、上向きだ。そしてNFT(Non Fungible Token:非代替性トークン)アートと好相性との見方もある。今後の成長は未知数だが、Z世代によるTumblrの利用増加からは、“大手SNSからの逃げ場”という新たなニーズが鮮明になっている。