お客様の話が長すぎるとき、「感じのいい人」は何と言って切り上げるのか?
それを語るのは、「感じのいい人」に生まれ変われるとっておきのコツを紹介する書籍『気づかいの壁』の著者・川原礼子さんです。職場で困っている人を見かけても、「おせっかいだったらどうしよう…」と躊躇したり、「たぶん大丈夫だろう…!」と自分に言い訳したり……。気づかいをするときには、つい「心の壁」が現れてしまい、なかなか一歩が踏み出せないことが、あなたにもあるのではないでしょうか? この連載では、「顧客ロイヤルティ(お客さまとの信頼関係づくり)」をベースに、ビジネスセミナーへの登壇やコミュニケーションスキルの研修講師を通して、全国200社・2万人以上のビジネスパーソンに向けて教えてきたノウハウを、さらにわかりやすくお伝えします。本稿では、本書には入りきらなかった「気づかいのコツ」について紹介しましょう。

お客様の話が長すぎるとき、「感じのいい人」は何と言って切り上げる?Photo: Adobe Stock

終わりを切り出す勇気

 ビジネスパーソンなら誰しも「お客様」または「上司」の延々と続く話に、付き合わされた経験があることでしょう。

 用件はすでに終わっていても、相手が大口のお取引先や口うるさい上司となると、終わりを切り出すのに勇気がいります

 以前、Aさんというリーダーから、「部長の長話に付き合っていたところ、同僚から、『Aさん、電話ですよ』と声をかけられ解放されることができた」という話を聞いたことがあります。
 実は電話など入っておらず、困り果てているAさんの様子を見ていた同僚が、機転を利かせたというオチでした。

 しかし、そんな救世主は、そうそう現れませんよね。
 今日は商談や相談、または電話などでお客様や上司の長い話を、感じよく切り上げる方法をお伝えします。

感じよく切り上げる方法・ベスト3

 一つめは、「時間の経過を伝える方法」です。
 私の指導先の企業さんで、お客様からの電話に30分以上付き合っていたある社員さんは、
「そうでしたか、そうだったんですね」などと受け答えしていたところで、突然に、

「あ、14時!こんな時間になっていたのですね。気づかず、大事なお時間をいただいてしまい、失礼しました」

 と、切り出していました。時の経過を、あたかも自分の気の利かなさを理由にして伝えたのです。優しい気づかいが伝わってこないでしょうか。

 二つめは、「時間の予告」です。
 ある旅館では、食事処で盛り上がっているグループのお客様に、

「こちらは22時閉店ですが、それまでは、どうぞゆっくりなさってくださいね」

 と、時間を予告するのだそうです。
 先に出てきた「上司の長話に付き合い続けていたAさん」も、以降その上司に相談する時は、「この後会議があるので15分しかないんですが」などと、時間を前置きするようにしているそうです。予告しておけば、一つめの方法「あ、もう14時ですね」も、より伝えやすくなります。

 三つめは、「別日の提案」です。
 たとえば、会議の終盤で相手の話が重要な内容に突入したときなどは、

「じっくりうかがいたいのですが、今日は時間が足りません。あらためて、続きを聞かせていただけないでしょうか?」

 と提案してみましょう。今聞くことがベストではありますが、「重要だからこそ、あらためて聞きたい」は、セカンドベストの提案になります。

 いずれも、ビジネスの現場にいる「感じのいい人」たちが日々実践している方法です。
 ぜひ、試してみてくださいね。

(本記事は、『気づかいの壁』の著者・川原礼子氏が特別に書き下ろしたものです。)

川原礼子(かわはら・れいこ)
株式会社シーストーリーズ 代表取締役
元・株式会社リクルートCS推進室教育チームリーダー
高校卒業後、カリフォルニア州College of Marinに留学。その後、米国で永住権を取得し、カリフォルニア州バークレー・コンコードで寿司店の女将を8年経験。
2005年、株式会社リクルート入社。CS推進室でクレーム対応を中心に電話・メール対応、責任者対応を経験後、教育チームリーダーを歴任。年間100回を超える社員研修および取引先向けの研修・セミナー登壇を経験後独立。株式会社シーストーリーズ(C-Stories)を設立し、クチコミとご紹介だけで情報サービス会社・旅行会社などと年間契約を結ぶほか、食品会社・教育サービス会社・IT企業・旅館など、多業種にわたるリピーター企業を中心に“関係性構築”を目的とした顧客コミュニケーション指導およびリーダー・社内トレーナーの育成に従事。コンサルタント・講師として活動中。『気づかいの壁』(ダイヤモンド社)が初の著書となる。