実際、ポッドキャスト事業は好調で、2021年にはSpotify上で120万件もの新たなポッドキャストエピソードが配信されたという。

JREを発端とした炎上騒動を受け、Spotifyでは2022年1月30日より、新型コロナウイルスに関するポッドキャストにはコンテンツアドバイザリー(注意書き)を表示。またコンテンツポリシーも制定し、どのようなコンテンツを不適切とし、どのような対処をとるか、といったルールを明確化した。

求められる“パブリッシャー”としての自覚

米ニュースメディア「The Verge」によると、Spotify CEOのダニエル・エク氏は2022年1月30日に開催された社内ミーティングにおいて、 SpotifyはJREを配信するプラットフォームであり、パブリッシャーではないと主張。ただし、同社が買収したポッドキャスト制作会社の「The Ringer」や「Gimlet」のパブリッシャーではあると主張した。

加えて、「(JREの)ゲストを事前に承認することはない。他のクリエーターと同様に、(ローガン氏が)コンテンツの配信を開始した時点で我々の手にも届く。コンテンツの内容はその後に確認し、もし我々のポリシーに違反しているのであれば、必要な対応をする」とも発言していたという。しかし、自らの判断でローガン氏にアプローチし、JREを独占配信している以上、Spotifyはパブリッシャーとして、その配信内容について責任を持つべきではないか。

米音楽ニュースサイト「Pitchfork」や日本の英字新聞「The Japan Times」などに寄稿する、音楽ライターのパトリック・セント・ミシェル氏は「JREに1億ドルも支払ったのにも関わらず、パブリッシャーではなくプラットフォームだという主張は、非合理的ではないでしょうか」と批判する。

また、米新聞社「The Washington Post」のコラムニスト、マーガレット・サリバン氏は2月6日の記事で、「注意事項を追加するだけで責任を取らない(Spotifyの)姿勢は、長年にわたり多くの有害な誤情報を広めたことに対する説明責任から逃れてきたFacebook(現Meta)を彷彿とさせます」とつづった。