2026年には5.5兆円市場を予測、デジタルツインの課題とは

調査会社・MarketsandMarketsのレポートは、2020年に31億ドル(約3500億円)だったデジタルツイン市場が、2026年には482億ドル(約5兆5000億円)に達すると予測する。市場拡大の理由には、COVID-19により医療・製薬業界で需要が増加していること、他業界でも保守点検の在り方の変化や設計・生産における利用が増大したことが挙げられている。

製造業だけでなく、さまざまな業界で活用が進むデジタルツインだが、さらなる普及には課題もある。

デジタルツインはセンサーデータに基づいてシミュレーションを行うが、モニタリングされていない周辺環境との相互関係を予測することは難しい。しかし現実世界に実在するすべての要素をくまなく測定してシミュレーションすることは、事実上困難だ。

こうした課題に対してデジタルツインでは、「バーチャルセンサー」と呼ぶ機能を用いて、想定される挙動や変化をデジタル空間上でセンシングし、現実空間で設置するセンサーの数を減らすという方法をとっている。

また、活用範囲が広がったことで、新たな課題も生まれた。街や医療におけるデジタルツインにおいては、個人情報を取り扱うこともある。このため個人情報保護の法令遵守や、モニタリングの対象となる人々の理解を得ることが欠かせない。スマートシティの開発におけるデジタルツインの活用や、ウェアラブルデバイスをデジタルツインと組み合わせた先進的な療法の提供のためには、この点でまだ解決すべき課題も残されている。