この制度によって太陽光発電などの普及が進んだ一方、発電した電気は常に固定の価格で買い取ってもらえるため、需給のバランスを意識する必要がなく、結果的に発電事業者の間で競争が起きずにいた。

2022年4月にスタートするFIP制度は、再生可能エネルギー発電事業者が発電した電気を卸電力取引市場や相対取引で売電をした場合、基準価格(FIP価格)と市場価格の差額をプレミアム額(補助金)をつける、というもの。卸電力取引市場で取引をし、再生可能エネルギーで発電された電力にプレミアム額をプラスすることで、再生可能エネルギー発電事業者に対して投資インセンティブを提供する。

Looop、独自の固定買取価格サービスを開始

FIP制度は電力需給に応じて変動する市場価格を意識し、市場価格が高いときに売電をすることで収益を拡大できる一方、時間帯や季節による市場変動、長期の気候変動や長期的な市場価格の下落などで投資回収の予見性を損なうことも懸念されていた。

そうしたデメリットも踏まえ、再生可能エネルギーを中心としたエネルギーサービスを手がけるLooopは3月8日、FIP認定を受けた発電所から電力と環境価値を固定価格で購入するサービス「Looop FITプレミアム」を全国(沖縄と離島を除く)で開始することを発表した。

同サービスは、LooopがFIP基準価格や従来のFIT認定価格よりも高い固定価格で、発電事業者から電力および環境価値を一定期間にわたって買い取るというもの。発電所の建設を検討中の法人や個人、すでに売電を開始している発電所所有者などを対象にサービスを提供していくそうで、想定買取価格は各取引先との相対契約になるという。

再エネ&蓄電池の運用管理を手がけるTensor Energyが7000万円の資金調達

また、再生可能エネルギー開発業者と発電事業者向けに、FITやFIP、その他の相対契約に対応したアセットポートフォリオのマネジメント、AIによる発電予測と電力取引市場の予測、オペレーションの自動化、経済性と環境価値の可視化を行う、オーケストレーションプラットフォームの開発を手がけているのがTensor Enegyだ。

同社は3月8日、ジェネシア・ベンチャーズから7000万円の資金調達を実施したことを発表した。調達した資金をもとに開発を進め、2022年末にベータ版の公開を目指す。

また、2023年以降に急増すると予想されるFIP電源アセットの稼働に向けて、再エネのオペレーションの自動化、リスク管理、蓄電システム連携といった機能もベータ版の公開後に順次リリースしていく予定だという。