幅広い人々が楽しめるロボット犬へ

Mini Pupperの開発においてポイントとなったのは、初めてロボットに触れる人から専門家まで、さまざまな人が楽しめるようにすることだ。自ら進んで学習できるよう、親しみやすいデザインに仕上げただけではなく、初心者でも組み立てられるように溶接不要とした。

しかし、四足歩行ロボットの開発・製造には、高度で複雑な技術を必要とする。サプライチェーンが未成熟なこともあり、大量生産を実現できる企業や個人はほんの一握りしかいない。今回のMini Pupperにおいても、四足歩行ロボットのプロトタイプを作成することは決して容易ではなかった。

特に困難だった点の1つは、ROS(Robot Operating System)やOpenCVフレームワーク(Open Source Computer Vision Library)の調整作業などで、そこに数カ月もの時間を費やした。結果的にROSを通して、高度な動きとアクションコンビネーションを覚えさせることが可能となっている。

また、応援購入サービス「Makuake」で販売するにあたり、さらなる改良を進めていった。例えば、Mini Pupperの足の部分は耐久性のあるカーボンファイバープレートで構成されており、高度なカット技術が必要になるが、従来の技術ではどうしても切り口が荒くなってしまう課題があった。

子どもにもたくさん触れてもらって、プログラミングを学んで欲しいという思いもあり、切り口を改善するためさらに時間とコストをかけ、工場に最新のカットマシーンを導入することで滑らかなエッジに仕上げることに成功した。さらには搭載されているバッテリー容量も大幅に増加し、簡単に取り外せるような工夫も施した。

このように、内部システムからボディの細部に至るまで試行錯誤を繰り返したことで、ロボット工学をこれから学ぶ人や、プログラミング初心者、専門家など、子どもから大人まで幅広い年齢層にも扱ってもらえる製品になったのではないか、と感じている。

今後、四足歩行ロボットを含めたロボット製品は、ますます身近なものとして発展していくと考えている。また近い将来、AI研究が進展することにより、ロボットが人と同じように考えたり、ロボットと人のコミュニケーションがより円滑になったりと、ロボットの自立性や効率はますます改良されていくだろう。

その中で、マンダンテクノロジーはロボティクス企業として、教育・家庭用の四足歩行ロボットをさらに身近なものとして発展させて、より日常生活や公共の場において活躍できるように挑戦を続けていきたい。そして、その発展を担っていく次世代人材の教育にも注力した上で、少子高齢化による労働人口の減少などの社会課題の解決へ貢献しながら、人々が便利に幸せに暮らすことができる環境づくりを目指していく。