アストロスケールに続く形で、119億円の大型資金調達を実施したのが小型SAR衛星の開発・運用を行うSynspectiveだ。

同社は3月29日、損害保険ジャパン、野村スパークス・インベストメント、Pavilion Capitalなどから119億円の資金調達を実施したことを発表した。今回の資金調達により、Synspectiveの累計調達額は228億円となった。

Synspectiveは、政府が主導する革新的研究開発推進プログラム「ImPACT」の成果を応用した独自の小型SAR衛星の開発・打ち上げを行い、衛星による観測データを活用したソリューションサービスを提供するスタートアップ。

同社が開発する小型SAR衛星は、一般的な大型SAR衛星の約10分の1となる100kg級となっている。地上分解能は1〜3mで観測幅は10〜30kmとなっており、単偏波(VV)データを取得する。それらのデータを活用し、地盤陥没の予測や災害リスクの検知などに役立てるソリューションも開発している。

現在、「StriX-α」と「StriX-β」の2機を打ち上げている。今後は2026年前後に、小型SAR衛星30機からなる衛星コンステレーション(多数の人工衛星による一群のシステム)を構築することで、広範囲・高頻度の地上観測を可能にするシステムの構築・運用を目指していくという。

アークエッジ・スペースが追加で6億円の資金調達を実施

Synspectiveと同じように、小型衛星のコンステレーションの構築を目指しているのがアークエッジ・スペースだ。同社は2025年までに「IoT通信」、「地球観測」、「海洋DX(VDES)」、「高精度姿勢制御ミッション」の4つのテーマに対応した6U(60cm×60cm×60cmの立方体)サイズの小型衛星7機の設計開発、軌道上運用に取り組んでいる。

同社は衛星開発体制の構築・強化を加速させるべく、3月29日にPavilion Capital、インキュベイトファンド、三井住友海上キャピタルからシリーズAラウンドにおいて追加で6億3500万円の資金調達を実施したことを発表した。シリーズAラウンドにおける調達額は23億円となり、同社の累計総額で約27億円となった。

三菱地所がスタートアップ投資ファンドを設立

事業会社がスタートアップに投資するファンドを立ち上げる、いわゆるCVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)の設立が再び盛んになっている。

3月30日には、大手不動産ディベロッパーである三菱地所が社会課題の解決や産業構造の転換など中長期的な社会インパクトの創出に挑むスタートアップへの投資を目的にしたファンド「BRICKS FUND TOKYO」を立ち上げたことを発表した。