中には「37時間走ればフェラーリF50が手に入るのか」という発想の方もいるかもしれない。だが高額車種はほかにも「トヨタ スープラGT500 1997年モデル」(1億5000万Cr)や「アルファロメオ155 1993年モデル」(8000万Cr)など、それなりの種類がある。

アップデートで「賞金効率のいいレース」が改悪、SNSでユーザーの不満が爆発

そこで世界のプレーヤーたちは「できるだけ効率良くクレジットが稼げるレース」を探し、ネットで情報を共有。そのレースを何時間も周回するという行動を起こしたのは当然の結果だった。しかし問題になった3月18日のアップデート明けには、それら「賞金効率のいいレース」の賞金額がことごとく下げられていたのだ。

「発売当初まではクルマを入手しやすくしてメタスコアを上げさせ、一般ユーザーがプレイする頃にクレジット収入を下げたということか。ゲーム内課金への誘導をするな」──プレーヤーのそんな声が、世界中のSNSにあふれたのである。

このゲームでは、ゲーム内通貨を課金によって入手する手段が用意されている。一番高額で換金効率がいい「ゴールド」(2200円)の課金なら、2億Crが手に入る。

とは言え、課金だけで「マクラーレン P1 GTR」(3億6000万Cr)を買うとなると、3960円分課金する必要がある。

PlayStation Storeで販売している、ゲーム内通貨「クレジット」課金プラン
PlayStation Storeで販売している、ゲーム内通貨「クレジット」課金プラン

「どうしても手に入れたい1台」のためなら3960円の課金を受け入れられるユーザーもいるだろう。だが、このゲームには発売時点で424台ものクルマがある。

グランツーリスモ7が基本無料のF2P(Free to Play)であれば、課金問題は話題にすらならなかっただろう。だが、このゲームは8690円で販売している買い切りソフトだ。「ソフト代に加えて、ユーザーに総額いくら払わせるつもりなのか」とプレーヤーは不満を感じたのである。

実は、このシリーズがクルマを有料ダウンロードコンテンツ(DLC)で販売すること自体は過去シリーズでもあった。だが、ここまで不満の声が噴出するようなことはなかった。問題は有料DLCの値付けにもある。

前作『グランツーリスモSPORTS』では、「マクラーレン P1 GTR」の販売金額が509円だった。それを考えると、今作では8倍近い値上げがなされた換算となる。つまり「有料DLCの大幅値上げ」に加えて、「ソフト発売後にレース賞金を下げ、有料DLCへ誘導したのではないか」という疑惑の2つが重なってしまったのである。

『グランツーリスモSPORT』の有料DLC。1台153円から509円という価格帯
『グランツーリスモSPORT』の有料DLC。1台153円から509円という価格帯

公式サイトには異例の謝罪文が掲載

さらにアップデート直後、開発会社であるポリフォニー・デジタル代表の山内一典氏が公式サイト上で「GT7では課金なしでも多くのクルマとレースを楽しんでもらいたいと考えています」とメッセージを発信していたことも、火に油を注ぐ結果となった。