運動を習慣化し、継続させるにはどうしたらいいのか。自分は毎日必ず帰ってくる自宅を運動するのにベストな場所、ジムにすればいいのではないかと思ったんです。

画像提供:ミラーフィット
画像提供:ミラーフィット

──習慣化と継続という意味では、賃貸マンションにKarada BESTAを入れる取り組みもしていましたが、そちらはどうだったのでしょうか。

ジムに通い続ける自信がない人が多かったので、それならばマンションにジムをつけてみたらどうなのか。実験的にやってみたら反響があり、たくさんの申し込みがありました。ただ、このマンションを世の中に広げていこうと思うと、お金と時間がかかりすぎる。また、土地も必要になります。もちろん、それはそれで粛々と進めていくのですが、スタートアップ的な急拡大を目指すには自宅をジムにするべきだと思いました。

それでKarada BESTAを運営するRILISISTとは別で、新たにミラーフィットという会社を立ち上げ、ミラー型のフィットネスデバイス「MIRROR FIT.」を展開することにしたんです。

──海外では同じミラー型のフィットネスデバイス「MIRROR」のほか、フィットネスバイク「Peloton」などもコロナ禍で人気を博しました。

まず、Pelotonのようなフィットネスバイクは導入コスト・維持コストの観点から、日本の住宅環境に適していない、と思いました。またスマホやタブレットを活用したオンラインフィットネスサービスもありますが、それらは導入コストが低く利便性が高い一方、画面が見づらく自分の姿もわからないので“運動っぽいこと”しかできません。

そうした中で、ミラー型のフィットネスデバイスが最も日本の住宅環境に適していると思ったんです。海外ではPelotonと同様にMIRRORも伸びていたので、日本でも受け入れられるはずだと思い、ミラー型のフィットネスデバイスを開発することにしました。

──MIRROR FIT.を開発する際にこだわった部分は。例えば、競合のembuddy(エンバディ)は脚のないデザインが大きな特徴と言っています。

何より意識したのが、家になじむかどうかです。そういう意味では、実際の全身鏡を見ていただければわかるのですが、必ずフレームがあります。またトレーニング中に下の部分を見ることはなく、視線は自然と上の方に来ます。そのため、MIRROR FIT.は下の部分はスペースをつくり、上の部分に鏡を持ってきました。また、絶対に家になじむ状態をつくらないといけないので、幅や大きさ(32インチ)などはかなり意識しました。