また、従来の製品は壁に立てかけるタイプだったのですが、「自立式タイプが欲しい」という声もあり、新たに自立式タイプの製品も開発しました。

運動するモチベーションを維持しやすくするために、体型データを記録し、トレーニングの成果が可視化しやすいシステムを取り入れたり、理想の体型データに基づいたシェイプアッププログラムを提案するシステムを取り入れたりしています。

自己資本ではなく、外部資本を入れた狙い

──従来のジムという“箱”をつくってたくさんの人を呼び込むモデルから一転、今回はデバイスを開発し、それをたくさんの人に届けるモデルです。

成長のハードルがこちらのリソースになってはいけない、と思ったんです。従来の労働集約型のモデルでは会員が増えれば増えるほど、トレーナーなどの労働力が必要になります。

一定のキャパシティを超えてしまうと労働力が確保できず、サービスが提供できなくなってしまう。それは一番良くない状態です。労働力をあまり必要とせず、それでいてサービスの提供範囲を広げるために、今のモデルになりました。

いろんな人に運動することの良さを広めるためには、オンラインが最も効率が良い。またオンラインは会員数が増えれば増えるほど事業コストも下がっていくので、成長曲線も描きやすいというのがありました。

──先日、千葉道場ファンドなどの投資家から資金調達を実施しています。

Karada BESTAも売上高は毎年200〜300%成長を続けているのですが、今の状態になるまでに5年もかかった、という感覚があります。今まで自己資本で経営してきたのでリスクは少なかったのですが、一方で高い成長曲線も描きづらかった。

MIRROR FIT.は何年もかけて成長を目指すのではなく、1〜2年で急拡大させていかなければいけない、と思っています。だからこそ、今回資金調達も実施しました。

真に目指すのは「鏡のイノベーション」

──実際に販売してみての手応えは。

昨年まではPoC期間(Proof of Concept。実証実験のこと)という位置付けだったのですが、50台の先行販売を2回実施してみたところ、どちらもすぐに完売しました。サービス利用料も含めて初期費用が15万円弱するので決して安くはないのですが、買ってくれる人たちがいた。今まで運動に挫折していたけれど、「これならば」と期待を寄せる人たちがこれだけいるんだ、と感じました。

このビジネスの面白い部分は、売って終わりではなく、売り始めたところから消費者との関係がスタートすることです。実際に届いてから、どういう使われ方をしているのか、満足度が高いのか。解約率はどれくらいなのか、解約している理由は何かをひたすら検証し、サービスの改善を進めていっています。現在サービスの解約率は10%ほど。まだまだ数値は高いですが、今後は機能を拡充させていき、解約率を下げていければと思っています。