その一方で、すでに「毎日使って5〜10kg痩せた」という声も聞いています。そういう意味では、特定の人たちにはPMF(プロダクトマーケットフィット)しているので、どういうシーンなら使えるのか、どうしたら継続するのか。そこを深掘りし続けているところです。

──Makuakeで先行販売しているモデルは、運動以外に動画鑑賞やビデオ通話などの価値訴求をしている点も印象的でした。

運動に興味がない人に「MIRROR FIT.を買って運動しましょう」と言っても絶対に買いません。また自宅にある全身鏡が運動しかできないのはナンセンスだと思っています。そのため、運動以外に動画鑑賞などのエンターテインメント、オンライン会議やビデオ通話などのコミュニケーションの活用といった価値訴求をしています。

オンライン会議でのMIRROR FIT.の利用イメージ 画像提供:ミラーフィット
オンライン会議でのMIRROR FIT.の利用イメージ 画像提供:ミラーフィット

思い描いているミラー型デバイスの事業は、これまで反射しかしてこなかった鏡にイノベーションを起こすことです。姿を写すことしかしてこなかったのに、これだけ求められている鏡が、いろんなサービスのシームレスな入り口になったらすごく便利だと思いませんか。

ただ、いきなり自分たちがそれを実現しようとすると、リソースが行き届かない。さまざまな選択肢がある中、最も訴求しやすい価値が運動だと思ったので、運動から始めています。今後は少しずつサービスや機能を広げていき、5〜10年後に鏡のイノベーションを実現できたら、と思っているところです。

MIRROR FIT.の普及に向けた「3つの戦略」

──MIRROR FIT.の販売戦略はどのように考えていますか。

基本的にはtoC、toB、不動産デベロッパーとの連携の3つの軸で考えています。

まず、toCに関しては店舗販売やテレビショッピングなどを通して、運動に挫折したことがある人に対してMIRROR FIT.の価値を訴求していきます。ただ、それでは「使わなくなったらどうしよう」などの不安があるので、その不安を解消するようにキャンペーン価格で提供したり、分割払いで購入できるようにしたりします。

また、運動に使わないときにも全身鏡やスマートメディアとしての価値を訴求していき、「この買い物が無駄ではない」と“購入の言い訳”ができるようにしていくつもりです。

toBは基本的にリース販売がメインです。今のところ、ホテルやマンションでの導入が進んでいます。ホテルは安い初期コストでスペースを使わずにウェルネスプログラムを顧客に提供できるので、顧客満足度もあがり、集客に役立てることができる。マンションは住民の付加価値向上、入居者の募集などに役立てることができます。