詳しい人数は明かされなかったが、冒頭に挙げた月に500万円以上を売り上げたトーカーをはじめ、ギフトによる投げ銭で月額100万円以上稼ぐ人も何人も出てきているという井上氏。月50万円以上を売り上げるような人の中には、配信一本で食べているという人も生まれているそうだ。

熱量の高いリスナーが配信者とともにコンテンツづくりに参加

表現の場、クリエイターが稼ぐ場としては、先行するYouTubeなどの動画配信プラットフォームが今でも勢いを持っている。また音声配信の分野では、前述したClubhouseやTwitterスペースに加え、「Voicy」「Stand.fm」「Spoon」などほかのプラットフォームも台頭してきている。これらのいわゆる“競合”的なサービスについて、井上氏はどう考えているのだろうか。

まず動画のライブストリーミングサービスに関しては、「一社一強ではなく、プレーヤーが乱立している市場と見ている」と言う井上氏。「この市場のプラットフォームでは、スマホ画面には配信者の姿が画面の9割を占めます。それがRadiiotalkの場合、画面の9割を占めているのはリスナーの反応の方です」とその違いについて説明する。

「さらに動画だとスマホで5人、6人でコラボするということは、ちょっと難しいと思うんですけれども、Radiotalkのような音声の場合だと、声だけだからこそ、配信者同士が何人も集団でコラボできるんですよね。つまり、配信者同士の垣根もなく、かつ配信者とリスナーの垣根もない。みんなでコンテンツをつくっている状態で、1対1ではなく多対多になるのが特徴です」(井上氏)

Radiotalkの機能・特徴
 

確かにClubhouseなどでも、複数人が配信に加わるのは当たり前の光景となっている。では、こうしたほかの音声配信サービスとRadiotalkとの違いは何か。井上氏は「私たちはRadiotalkを、特に熱量の高いリスナーが集まるプラットフォームと位置付けている」と語り、そのためにリスナーがコンテンツに参加してアクションしやすい仕組みにしているという。

「たとえば国内のClubhouseでは、やはり芸能人や有名人、著名人とその他といった、配信者とリスナーの垣根がしっかりあって、リスナーがコンテンツになかなか参加しにくいように思っています。ですから日本ではClubhouseはどちらかというと“ながら聞き”に向いている。SpotifyやAmazon Music、Apple、Googleといった各社がここ数年で何らかのポッドキャストに関する企業買収や積極投資に参加していますが、彼らがやっているのはまさにその”ながら聞き”への投資です。国内の音声配信各社も大体ながら聞きに適した方向を向いているのではないかと感じています」(井上氏)