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Radiotalkでも当初は、ながら聞きリスナーを想定していたそうだが、SpotifyやAmazonなどをはじめとする大手テック企業の参入を受け、国産スタートアップとしていかにより大きく成長できるかを考え、彼らと戦うモデルではなく、追い風とするモデルにするのが勝ち筋と踏んだ。

そこでむしろ、Radiotalkで配信したものを、自動でポッドキャストなどのプラットフォームにも配信できるような機能を搭載した。SpotifyやAmazonなどで配信されたコンテンツに出合ったリスナーが、配信者とのコミュニケーションやリアルタイム配信への参加、アクションを望んだとき、あるいは自分もポッドキャストで配信を始めたいと思ったときに、Radiotalkへやってくるようになるというのが、その狙いだ。

「話す」ことは最も身近な創作活動でエンタメの手段である

今後のサービス展開について、井上氏は「話すことのクリエイターを生み出すために、引き続き注力したい」と話す。

「よく考えれば、私たちは物心ついたときから死ぬまで、毎日『話す』ということを体験しています。話すことは、実はすごく身近な創作活動であり、エンタメの手段なんですよね。今までは飲み会や放課後の教室、喫茶店でのおしゃべりで行われていたその活動が、インターネットの新しいプラットフォームを通してコンテンツになり、ファンが生まれ、産業になる。そのプラットフォームでみんなを楽しませている人たちは、収益面でも報われる仕組みが作れると考えて今までやってきました。それがかたちになったのが、この1年だったと思います」(井上氏)

Radiotalkは、月次収益は前年平均と比べて12倍に成長。寿命が短いと言われる配信サービスの中で、RadiotalkではLTV(ライフタイムバリュー、顧客生涯価値)が1年以上、下がっておらず、継続性の長さも特徴だと井上氏。累計50万円以上を売り上げた配信者も100人を超え、継続的に配信するユーザーが着実に付いているという。

「今はまだRadiotalkは『タネ』の段階です。世の中で、話すことのクリエイターである『トーカー』が一般認知される状態まで、これからさらにサービスを広げていきます」(井上氏)