成長企業を主なターゲットに限度額1億円以上の法人カードをウェブから簡単に申請できる仕組みを構築。カードは管理画面上から何枚も発行できるため、利用者や用途ごとにカードを分ければ企業内のお金の流れを管理しやすい。決済データはリアルタイムに更新され、会計ソフトと連携すれば会計業務の自動化や決算の早期化も見込める。

UPSIDERのカードとダッシュボードのイメージ。カードごとに用途や上限金額などを細かくコントールできる
UPSIDERのカードとダッシュボードのイメージ。カードごとに用途や上限金額などを細かくコントールできる 画像提供 : UPSIDER

直近では”会計処理”や“内部統制”の観点などからカードの管理機能を強化していることもあり、スタートアップだけでなくエンタープライズの顧客も増加。MAU(月間利用社数)は1000社を超えており、利用継続率も99%以上だという。

UPSIDERで代表取締役CEOを務める宮城徹氏は、同社の成長の要因の1つに「法人カードを取り巻く環境の変化」を挙げる。

数年前までは主に役員レベルの交際費や出張費を支払うためのツールとして使われることの多かった法人カードが、近年は企業の日々の決済手段としても活用され始めている。デジタル広告の出稿料やソフトウェアの利用料、クラウドサービスの利用料、レンタルオフィスの賃料などは“デフォルトの決済手段”がカードであることも多い。

法人カードの用途が広がってきていることで、従来のカードとは異なる強みを持つサービスへのニーズが生まれた。従来よりも高い限度額、部署や用途ごとに柔軟にカードを発行できる基盤、使用状況を細かく管理するためのソフトウェアなどは、新興の法人カードサービスの特徴だ。

2017年創業のHandiiもこの領域でサービスを展開するスタートアップの1社。2020年にローンチした「paild」の累計の導入企業は1000社を超える。

paildは与信審査のないプリペイド式のサービスで、与信限度額に悩まされてきた創業期や成長期のスタートアップでも導入しやすい点が特徴だ。

利用用途などに応じてカードを何枚も発行できる点や、利用状況をリアルタイムに把握できる点などはUPSIDERのサービスとも共通する。現在は「後払い(クレジット払い)」の準備にも取り組んでおり、一部の企業には試験的に提供を始めているという。

Handii代表取締役社長兼CEOの柳志明氏によると、代表的なユースケースの1つが複数のSaaSの管理だ。同サービスにはSaaSごとの専用カードと専用のメールアドレスを発行できる機能が備わっている。登録したSaaSは管理画面上で一覧表の形式で表示され「どのSaaSに、いつ、いくら支払っているのか」が一目でわかる。