paildのSaaS管理機能の画面イメージ。複数のSaaSを導入している企業から重宝されているという
paildのSaaS管理機能の画面イメージ。複数のSaaSを導入している企業から重宝されているという 画像提供 : Handii

またカードを何枚も発行できることを大きな利点と感じている事業者も少なくない。たとえば複数拠点を構える企業が“小口現金の代替手段”として、日々の決済や支出管理を効率化する目的でpaildを導入するケースもあるという。

UPSIDER、Handiiともに現時点では法人カードサービスが主軸となっているが、それぞれが多角化に向けた動きを進めている。

UPSIDERはクレディセゾンと共同で、銀行振込の支払いをクレジットカードで決済できる「支払い.com」の提供を4月より始めた。Handiiも4月にGMOあおぞらネット銀行と業務提携を締結。必要なライセンスを取得した上で、今秋にもワンストップ型の「請求書支払いサービス」の提供を目指すとしている。

freeeやマネーフォワードも法人カードに進出

UPSIDERやHandiiのように法人カードから始めて領域を拡張していくアプローチもあれば、支出管理系のSaaSを手掛けるフィンテック企業が事業の幅を広げるかたちで法人カードの提供を始めるアプローチもある。

クラウド会計サービスを展開するfreeeやマネーフォワードも法人カードを展開している。freeeは1月より子会社のfreee finance labを通じて、統合型コーポレートカード「freeeカード Unlimited」の正式版の提供をスタートした。独自の与信モデルにより最大で5000万円の限度額を実現。カードの利用明細は最短で当日中にfreee会計と連携されるため、バックオフィス業務の効率化も見込める。

マネーフォワードも2021年9月に事業用プリペイドカード「マネーフォワード ビジネスカード」をローンチした。1取引当たり最大5000万円の決済が可能なため、海外SaaSの年額一括支払や高額な広告費の支払いなどにも活用されているという。同社のクラウド会計サービスやクラウド経費サービスと組み合わせて使うユーザーも多い。

マネーフォワードによると4カ月(2022年1月時点)でカード発行事業者数は約1000社に達した。今後は独自の与信モデルによる「後払い機能」の実装なども計画している。

LayerXは年内にも法人カードを提供へ

スタートアップではクラウドキャストが法人プリペイドカードと一体型の経費精算サービス「Staple」を運営しているほか、クラウド請求書受領サービス「バクラク請求書」などを展開するLayerXも年内に法人カードをローンチする計画だ。

同社では2021年から「バクラク請求書」「バクラク申請」「バクラク電子帳簿保存」と複数のサービスを開発し、法人の支出管理領域において守備範囲を広げてきた。5月には経理担当者の会計業務の自動化を見据えて、新サービスとなる「バクラク経費精算」を立ち上げたばかりだ。