5月の宅建業法の改正によって不動産売買契約の電子化が実現し、リモートで仕事を進めやすい環境が整ったことも大きい。江口氏も事業成長の背景として「中古住宅取引の活発化」「(副業やフリーランスなど)個人エージェントの働き方の多様化」「法改正によるオンライン契約の実現」を挙げる。

家探しをしている人とエージェントをつなぐ「Terass Offer」のイメージ画像。エージェントにとっては集客ツールにもなる
家探しをしている人とエージェントをつなぐ「Terass Offer」のイメージ画像。エージェントにとっては集客ツールにもなる

もう1つのTerass Offerは、エージェントの視点では集客を支援するための仕組みだ。同サービスでは家探しをしている個人が条件を入力すると、平均で7人程度のエージェントから提案が届く。

たとえば「学区」にこだわって探したい場合にはそのエリアに詳しいエージェントと一緒に。中古物件価格の高騰で予算設計から見直したい場合にはファイナンシャルプランナーの資格を持っているエージェントと一緒にといったように、まさに「良いエージェント」を起点に家探しができるサービスだ。

自分の条件に合ったエージェントと家探しをできるのが特徴
自分の条件に合ったエージェントと家探しをできるのが特徴だ

1年で約6倍・年収1億円も誕生、エージェントが続々と集まる理由

Terassのビジネスモデルはエージェントとのレベニューシェア型で売上の75%がエージェント、25%がTerassの取り分となる。優れたエージェントを多く集め、取引の実績を積み上げていくことがそのまま同社の事業成長にもつながる仕組みだ。

Terassにとってはエージェントが競争力の源泉にもなるわけだが、なぜ新興プレーヤーでもある同社に200人を超えるエージェントが集結しているのか。

キーワードは「リモートベースの効率的なワークスタイル」「手厚いサポート」「高いコミッション」「業界変革意識」の4つだとTerassは主張する。

そもそもTerassであれば店舗に常駐する必要もなく、リモートベースで柔軟な働き方を選べる。実際に所属するエージェントの65%は専業ではなく複業や副業のエージェント。幼児教育事業を手がけている事業家から建築士、コンサルタント、住宅購⼊専⾨のYouTuberまで多様な個人が活躍している。

エージェントの業務を支えるのがTerass CloudやTerass Offerといったプロダクトを含めたサポート体制だ。あるエージェントは仲介会社で勤務していた際に深夜まで仕事をするのが当たり前となっていたが、バックオフィス業務をTerassに任せられることで働き方が変わったという。

またTerass自体も業務を自動化しており、通常の仲介会社と比べて店舗運営やバックオフィスなどにかかるコストを大幅に削減できているからこそ、エージェントに売上の75%をシェアしても持続可能な体制が作れているのだという。