現在はiOS版とAndroid版のアプリを提供しており、累計のインストール数は33万件を超えた。

興味深いのが地域ごとのユーザー比率で、日本人ユーザーの割合はわずか4%のみ。ベトナムとインドネシアのユーザーが多く2カ国で40%強を占めており、モロッコ、エジプト、日本、タイ、トルコと続く。

fondiは無料でも活用できるが、無料プランの場合は1日15分の時間制限や散策できるエリアの制限がある。月額制の有料プラン(国ごとに異なり、日本の場合は月額1950円)であれば無制限に使える。

課金ユーザーの母数自体は非公開としているが、平均滞在時間は1日あたり120分を超えており、徐々に熱狂的なユーザーが生まれている。運営元のfondiで代表取締役CEOを務める野原樹斗氏も「非ネイティブのユーザー同士が集まり、一緒に安心して英語でのコミュニケーションを実践できるコミュニティが作れてきている」と話す。

「留学」と「新規事業開発インターン」を機に起業

fondiで代表取締役CEOを務める野原樹斗氏
fondiで代表取締役CEOを務める野原樹斗氏

fondiは野原氏と高校時代の後輩である磯上樹氏(現CTO)が2017年に創業した。起業のきっかけとなったのは留学とインターンシップだ。

野原氏自身は高校卒業後に渡英しUniversity of Warwick(ウォーリック大学)に進学。夏休み期間中に日本のIT企業・KLabで新規事業開発のインターンに参加した後、大学を休学して自ら会社を立ち上げた。

最初に手掛けたのは留学をサポートするツールだったが、約1年半ほど運営した後にピボットを決断。次のチャレンジとして行き着いたのが「バーチャル空間で擬似的に留学が体験できるサービス」のアイデアだった。

2020年4月にfondiをローンチしてからしばらくの間は「どんなユーザーがどのような背景で使ってくれているのかがボンヤリとしていた」というが、1年間運営する中でユーザーに対する解像度が高まっていったという。

現在fondiのヘビーユーザーとなっているのはAPAC(アジア・太平洋地域)やアフリカ地域に住む人たちだ。

「英語を実用レベルで使えることが人生を大きく好転させるチャンスになるという人が多いです。経済面で貧富の差が激しいため、英語を使うことができれば地元から出て職業機会が広がる、もしくは政治的・宗教的な抑圧から海外で生きていけるようになりたいという思いを持たれている。そういった国々では既存の語学学校やオンライン英会話サービスに(価格面の問題で)手が届かない人たちも少なくありません。そこでユーザー同士のコミュニケーションを通じて英会話の実用力を身に付けられるサービスとして、fondiを活用していただいています」(野原氏)