実際にプロトタイプを作ってみると思っていた以上に便利なものができたため、知り合いの企業を中心に30社ほどに使ってみたいかをヒアリングしてみたところ、結果は30戦29敗。29社には全く刺さらなかったが、1社だけ、とある税理士事務所から「今の状態でもお金を使ってでも使いたい」という反応が返ってきた。

「その会社は税理士事務所という仕事柄もあり、顧問先とのやりとりの議事録をWordに綺麗にまとめ、Dropboxで細かく階層を分けながら丁寧に管理されていました。だけど(欲しい情報への)アクセスが良くない点が1つのネックとなり、ドキュメント内に書かれた重要な情報をメンバーが見返さないことが課題になっていたんです。それがStockのフォルダ一覧に並んだ状態であれば、忙しくてもみんなが確認する。その点をすごく喜んでもらえました」(澤村氏)

それからはこの税理士事務所に何度もヒアリングをしながら、機能開発を進めていった。ちなみに同事務所は現在もStockユーザーだ。

Stock代表取締役社長の澤村大輔氏(中央)と投資家陣
Stock代表取締役社長の澤村大輔氏(中央)と投資家陣

Stockでは今回調達した資金を活用して開発面を中心に組織体制を強化する計画。澤村氏によると主要な機能はある程度出そろった状態ではあるが、各機能を骨太にしていくことでさらに使いやすいサービスを目指していくという。

「ベータ版のローンチ当初は実際にお金を払ってでも使いたいと思ってくれる人がいるのか、自分の中でも確証がない状態でスタートしました。それから約3年が経って、今では5万社以上のチームが登録し、実際に日々の業務の中で使ってもらえている。少しずつインフラのような存在に近づいてきている手応えはあります。今後は特に非IT企業にとって強固なインフラとなるサービスを目指し、より使いやすいプロダクトになるようにアップデートを続けていきます」(澤村氏)