たとえば10人ほどの社員が所属する内装工事会社では「田中さんの家の水道が壊れた」「鈴木さんの家の屋根が破損した」といった案件情報を、写真と共にすべてLINEで共有していたそう。ただLINEでは各案件ごとのやりとりが混ざってしまい、重要な情報がわかりづらくなってしまうことが大きな課題だった。
そこでカジュアルなコミュニケーションはLINEに残し、各案件の情報はStockにノート単位で管理する形に変えた結果、業務が円滑に進むようになったという。
情報共有に力を入れている企業ではExcelやGoogleドライブ、Dropboxなどを使っているところも多いが、毎回それらのサービスを開いて情報を記入していくのは現場のスタッフとしても楽ではない。試しに始めてみても「更新されない」「情報が見辛い」という新たな壁に直面することもよくある。
「今までどのように情報共有をされていたのかを実際に聞いてみると、チャットツールとファイル共有ツールを組み合わせて対処していた方々が多いです。(Stockと)同じような使い方ができるサービスは存在しますが、非IT企業の人にとっては『マークダウン(記号を用いてプレーンテキストをHTMLのようにリッチな表現にする言語)』という言葉が入ってくるだけでも難しい印象を持たれてしまう。Stockのユーザーはリッチな機能はいらないから、とにかく簡単に情報を残せるツールが欲しいという方がほとんどなので、あえて機能を削ぎ落として最も簡単に使えるプロダクトを追求してきました」(澤村氏)
とあるIT系のマザーズ上場企業のバックオフィスチームでは、複数のツールを試した結果、最終的にStockに落ち着いた。他のツールでは続かなかったメンバーによる情報共有が、唯一Stockでは継続できたことが大きな理由だ。
「マークダウン形式で情報をきれいに整理できるのがウリのツールだと本腰を入れてアウトプットをしないといけない感覚になり、『記事を書いているような雰囲気になるため長続きしなかった』という話を伺いました。Stockの場合はなぐり書きで良いから継続できていると聞き、シンプルな構造で情報を残すことだけにフォーカスしたプロダクトがありそうでなかったのだと改めて感じています」(澤村氏)
社内ツールとして誕生、プロトタイプは30戦29敗
Stockはもともと自社の課題を解決するための社内用ツールとして開発された。まさに澤村氏自身が顧客企業と同じような課題を抱え、簡単にチームの情報を残せるサービスを探していたものの、要望に合うものが見つからなかったために自分たちで作り上げたのがStockの原型だ。