最初にタッグを組んだBASEであれば、ショップオーナーは月額4980円で独自のiOSアプリを作成・運営できる(アプリをApp Storeに公開するためには別途、年額1万1800円のApple Developer Accountに登録する必要がある)。
自前でアプリを作ろうと思った場合、課題になるのがコストと時間だ。数百万円規模の制作コスト、数カ月単位の期間がかかることも珍しくなく、特に個人や小規模事業者にとっては敷居が高かった。
Appifyの役割はその「アプリ開発のハードル」を大幅に下げ、誰でも独自のアプリを持てるようにすることだ。BASEのウェブサイト上で利用できる拡張機能の中からAppifyをインストールした後、アプリ名の登録やApple IDの連携といった初期設定をするだけで基本的な準備は完了。最短2週間でiOSアプリが完成する。
すでに独自アプリを公開しているユーザーは、BASE上で月間数千万円規模を売り上げる法人から個人でECを運営するオーナーまで幅広い。
たとえば石川県在住で子供服のECサイト「子供服kawaiiZOU」を運営するショップオーナーは、ブランド開始当初からホームページやアプリは欲しいとは思っていたものの制作費がネックとなり断念していた。そんな時にAppifyを知り、念願のiOSアプリをローンチ。約2.8万人のファンを抱えるインスタグラムを中心にアプリの紹介をしたところ、実際に多くのファンがアプリをインストールし、App Storeのファッションカテゴリにもランクインした。
アプリ単体で月商2000万円の事例も
スタートアップコミュニティでは「ゆずしお」の名でも知られる、Appify Technologies代表取締役の福田涼介氏の話では、法人ではアプリ単体で月間2000万円ほどの売上を記録するショップが出てきているほか、個人で運営するショップでも月に200〜300万円を売り上げる事例が生まれているという。
プッシュ通知とクーポンなどを組み合わせることでコアなファンに対して効果的に情報を届けやすく、ユーザーあたりの平均購入単価が上がっているのではないかと福田氏は分析する。
またマーケティティングの観点以外でも「そもそも公式アプリがあること自体がブランドの価値や信頼感を高める効果がある」という声がユーザーからあがっているとのこと。今のところAppifyユーザーの約9割はアパレル関連で、有名ブランドの多くが自社アプリを保有しているのと同じように「自分たちも独自のアプリを持ちたい」という人も多い。それを無理のない価格帯で実現できる点に価値を感じてもらえていると福田氏は話す。