Appifyを通じてクオリティの高いアプリを作れることは、プラットフォーマー側にもメリットは大きい。アプリ経由の売上が増えればプラットフォーマー自体の売上(手数料)アップに繋がるほか、仮に競合が有望なショップオーナーを引き抜こうとした際の防御策にもなりうるからだ。

非開発者向けのノーコードツール、カギは目的を絞ること

Appify Technologiesの設立は2018年6月。福田氏は現在23歳で、学生時代からメルカリやDMM.comで開発経験を積んできた。起業から1年半ほどは個人向けのアプリを開発してみるも、なかなか思い描いたような結果が出ない。新しいアプリを作っては、しばらくして壊すという日々を繰り返しながら方向性を模索した。

そんな過程において、新しいアプリを効率的に開発するべく「社内用に作ったソフトウェア開発の基盤」が後のAppifyとなる。エンジニアがいなくて困っている周囲のスタートアップに話してみると、このツール自体に需要があることがわかった。

まずはアルファ版という形でリリースし、さまざまなアプリの開発を請け負ったものの、次第に福田氏はスケーラビリティの観点でこのビジネスは“筋が良くない”と悟る。試行錯誤した後に決めたのは「(アプリを作る)目的を明確に絞る」ということ。以前から接点のあったBASE代表取締役CEOの鶴岡裕太氏と話す中で、まずは6月にBASEのアプリ開発に特化したノーコードツールとしてサービスを始めた。

「いわゆるノーコード型のサービスは開発者やクリエイティブ職の人が使うものと、一般の人が使うものの2種類に分類できると考えています。前者は抽象度が高くても良い一方で、後者の場合は具体的なユースケースを設定することが重要です。『どんなアプリでも作れる』というのは良さそうに聞こえますが、使う人が明確にどのようなアプリを作りたいかがイメージできていないと、結局使われずに離脱される可能性が高くなってしまいます」(福田氏)

海外に目を向けても、特定のユースケースに注力することで事業を伸ばしているスタートアップが出てきている。一例をあげるとShopifyのアプリ化を支援する「Tapcart」はすでに世界で7000以上のブランドオーナーが活用中だ。

これに比べるとAppifyの規模はまだまだかなり小さくはなるが、ゆくゆくは数千、数万規模のユーザーへの導入を見据える。先月末にショップ開設数が120万ショップを突破したBASEを始め、今後はCAMPFIRE CommunityやShopifyにおいても同様の取り組みを加速させる計画だ。