また、入浴剤の表面には香りを模したイラストのステッカーが貼られている。このステッカーにはNFCタグ(ICチップ)が埋め込まれており、手持ちのiOS端末(iPhone7以上)でこの部位に触れると、オリジナルのコンテンツも楽しめる。

例えば、ヒノキのイラストのステッカーをスキャンすると、ヒノキに対応する入浴レシピがアプリから起動し、香りをイメージした専用BGMを楽しめる。

プロダクトの開発にあたっては、アプリ連動における「洗練さ」を意識しながらも、温泉や入浴が持つ「やさしさ」、そして幅広い人に親しんでいただける「分かりやすさ」を同時に体現した広義のデザインを行った。

この入浴剤は一般発売開始以後(10月中予定)、アプリ内や公式ECサイトからポスト便で気軽に購入することができるようになる予定だ。

「アプリ×入浴剤」で体験価値を増幅

 

なぜ私たちが「アプリ×入浴」を提案するのか。その話をするためにまず技術の話を2つしたい。1つ目が端末の防水性能の向上だ。

ブランドとしては防水ケースの使用をおすすめしているが、iOSの端末性能が向上したことにより、防水基準に準拠した上で浴室の使用が可能になった。つまり浴室のような水場でデジタル端末が利用できる。

そして2つ目は、NFCをはじめとする非接触通信技術の進歩と一般化だ。

NFCとは「Near Field Communication」の略称で、近距離無線通信の技術規格のことである。端末(機器)同士が触れなくても「かざす」ことで通信が行えるテクノロジーを指す。たとえば、おサイフケータイや交通系ICカードなどに使われているFeliCaという通信技術も、非接触通信規格のひとつだ。近年のiOS端末を使えば、誰でも簡単にこの通信が利用できるようになっている。

Appleが今年発表した、クルマの鍵をデジタル化しiPhoneから解錠等を行えるシステム「CarKey」も、この技術を活用したものであり、今後さらに技術の活用は加速していく。
こうした技術の発展をもとに私たちが目指すのは、「入浴剤(モノ)が持つ体験価値をアプリで拡大していくこと」だ。

かつて、Webが主流の時代は「EC(モノ)+メディア」という形態が一般的だった。モノがもつ背景や歴史的価値をメディアが補い、その価値を伝達していた。

私たちは今回、モノの価値を増幅・伝達する機能を補う媒体としてモバイルアプリを選定した。例えば、入浴剤と同時に使用できるバスライト機能やBGM、もしくはその使い方を案内してくれるレシピなどだ。