廃棄される可能性のある酒粕を用いたクラフト・ジン「LAST」

 

世界で最も伸びている酒類カテゴリーは何かご存じだろうか。意外に思えるかもしれないが、それは「ジン」だ。実はたった10年でウイスキーの母国イギリスではウイスキーの市場を超え、ジンが蒸留酒市場のリーダーとなっている。

日本では必ずしもウイスキーほどの存在感があるとは言えないジンだが、その伸長の背景には「イノベーション」が関係している。同時にそのジンのイノベーションを世界的に引っ張る企業のひとつが日本企業であることもあまり知られていない。

この記事では、世界のスピリッツ市場におけるジンの伸長、そしてその伸長の背景にあるジンの自由さとイノベーション、そして最後にSDGs(持続可能な開発目標)が社会的に重視される今、世界をリードする「エシカル・スピリッツ」(エシカル:倫理的、ここでは環境や社会に配慮した考え方を指す)について紹介する。

ジン市場がウイスキー市場を上回った衝撃

イギリスのお酒と言えば、何を思い浮かべるだろうか。きっと多くの人はスコットランドを主な生産地とするウイスキーを思い浮かべるかもしれない。スコットランドと言えば、NHKの朝の連続テレビ小説「マッサン」でも主人公・竹鶴政孝(ニッカウヰスキー創業者)の修行先としても描かれたウイスキーの母国であり、本場だ。スコッチウイスキー、特にボウモア、アードベッグ、ラフロイグなどのピート香がしっかりしたアイラ島のシングル・モルトは、日本でも人気が高い。まさにウイスキー界を代表する場所がイギリスのスコットランドだ。