また不正利用のリスクも大きいサービスのため、事業として成立させる上では不正対策も欠かせない。一例をあげるとCASHARiではeKYCやSMS認証などを用いて金融機関と同水準での本人確認を実施しているほか、GPSによる撮影地の確認の仕組みなどを取り入れている。

不正利用対策の例
不正利用対策の一部

山本氏の話では、中には自宅以外の場所で撮影されたと考えられるデータも一定数存在するそう。典型的なのが「家電量販店でガジェットを撮影して登録した」ケースで、登録された自宅住所とスマホのGPS情報などを照らし合わせながら、不正利用を排除しているという。

個人が保有するさまざまな動産を流動化できるサービスへ

共同創業者の山本義仁氏(右)と磯田岳洋氏(左)
共同創業者の山本義仁氏(右)と磯田岳洋氏(左)。山本氏は三井住友銀行を経て、建設系スタートアップで個人事業主向けファクタリング事業やプリペイドカード事業などを経験。磯田氏は家業である質屋の経営に携わりながら知見を貯めてきた。

山本氏は新卒でメガバンクに入社。その後は建設系スタートアップの助太刀で個人事業主向けのファクタリング事業やプリペイドカード事業などにも携わってきた。

お金を調達するために自分の信用情報を用いて“借金”を選択し、債務に追われながら苦しい状態に陥っていく人も見てきたからこそ、質屋のビジネスのように「目の前のモノの価値を単純に取り出せるサービス」には社会的な価値があると考えていたという。

一方の磯田氏も、質屋ビジネスの価値を感じつつも、従来の仕組みをアップデートする必要性を感じていた。既存の質屋のメイン顧客は高年齢層であり、主に扱うのはそういった年齢層の人たちが所有する貴金属や宝石といったもの。若い世代にも使ってもらえるようなサービスを目指し、2人で事業案を詰めてきた。

今後ガレージバンクではCASHARiのさらなる機能拡充を進めていく計画。真贋鑑定の自動化に向けた取り組みに加え、「個人の動産すべてを流動化できるような状態」に向けてアイテムのラインナップも広げていく予定だ。

そのための資金として、2021年10月には既存投資家のW venturesのほか、マネックスベンチャーズや個人投資家の山崎令二郎氏を引受先とした第三者割当増資により、1億円の資金調達も実施した。