イベントの中身や日時が決まり、招待客へ案内を済ませたら、もう後戻りはできない。選択肢はひとつで、各事業部がイベントを成功させるため、連携して動いていくのみだ。イベントが存在することによって、プロダクトチームはイベントで披露するプロダクトや新機能のリリースを優先的に行うようになる。期限までに開発できなければ、マーケティングチームはマーケ施策を打つことができず、セールスチームも営業することができない。

イベント開催によって、各事業部の「いつまでに、なぜ、それをするのか」が明確になり、全員がそれを理解する。組織全体が整合性の取れた動きをするようになり、皆が同じ方向に向かう土台ができるのだ。

四半期に1度のPRイベントが、事業部間の歯車を噛み合わせる

スタートアップが四半期に1度、定期的に開催するイベントは、既存・新規顧客双方にとって有意義な内容に設計できる。半年に1回では、スタートアップ企業のスピード感としては遅く、短期的な目標設定に落とし込みづらい。月次の場合、粒度の細かい修正やアップデートが優先されてしまうため、プロダクトの「骨」となる部分の開発優先度が下がってしまう。適切なスピードで開発を進め、それを適切に目標設定に落とし込んでいくためには、四半期に1度のPRイベントが最適である。

既存顧客に対しては、イベントで彼らの事例を取り上げ、プロダクト導入により顧客企業がどう進化していったのかをオーディエンスに伝え、彼らが積み重ねてきたことをアピールできる。

新規顧客に対しては、プロダクトや新機能を知らせるのはもちろん、貴重な他社事例を伝えることが可能だ。顧客同士がつながり、成功した施策や取り組みをシェアし合う、コミュニティのような場を提供することもできる。

このようなイベントを成功させるには、マーケティング/セールス/カスタマーサクセスの連携が必要不可欠といえる。特にSaaS企業は、サブスクリプション型のビジネスモデルを展開していることから、顧客に寄り添ったプロダクト、カスタマーサクセスの構築は重要課題だ。

だからこそ、既存顧客と接点を持ち続け、彼らの声を聞き、属性を深く理解する機会は必須である。契約締結=ゴールではなく、更新し続けてもらうための取り組みは欠かせない。

イベントは顧客と良好な関係性を育てるきっかけにもなる。新機能をローンチしたり、改善したりする度に、顧客のビジネスを進化させることができれば、互いにエンゲージメントを高めることにもつながる。