京大を卒業してすぐに起業するも、どん底を味わう
「俺の授業を全国に届けたい。そのためには、インターネットしかない!」
宝槻泰伸は、鼻息荒く駆け回っていた。今の話ではなく、2006年のことだ。その1年前、京都大学を卒業した宝槻は上京し、ワイズポケットという会社を立ち上げ、東大、早稲田、慶応などの大学生が高校で出前授業をする事業を計画。手当たり次第に電話をかけて営業をしていたら、一校だけ、八王子にある高校が興味を示し、その年の秋以降、宝槻も教壇に立っていた。
学生時代から父親が経営する一風変わった塾の講師として、個々の興味関心を掘り下げる“探究型”の授業をしていた宝槻は、八王子の高校生たちの心もわしづかみにした。学校側の評判も良く、2年目(2006年)には予算が倍増し、2000万円の売り上げを得ていた。
授業の日、教壇に立つと、高校生たちが目をキラキラと輝かせていて、授業を楽しみにしてくれているのがわかった。
「おーし、今日も授業やるぞー!」